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[SS-RO] 商人とモンク(R15)

純真商人とウサモンク(♂×♂)
一生懸命なまーくんがいじらしいお話しです。

いつもどおりの腰抜けR15で。
ちゅーとかおさわりが入ると表記いれてますので!



大切な人がふわりと笑いかけてくれる。
包み込むようなやさしい菫色の瞳が、あまりにもまぶしすぎて。
うっとりと上の空になってしまった自分に気が付き、あわてて意識を自分に向けられた声に集中させた。


──……、幸せになりたいなぁ。


何気なくこぼれた最後の言葉を、しっかりと心に刻み込む。

自分の望みなんて、滅多に口にしない人だから。
誰でもない、自分のこの手で。


──彼の願いをかなえてあげたい。













■クローバー




「きゅう」と毛玉が鳴いて、ぱっさり地面に倒れて消える。
月の光に照らされた地面にのこったのは、まっしろなふわふわ1個とミドリな葉っぱ1枚だけ。
迷わず葉っぱを手に取り、おもむろに口に出して数えだす。

「いち…にい…さん…………」

月夜に消える小さな声。
はぁ……最後の言葉は声にならないため息と同時に。


『クローバー 1個 獲得』


葉っぱを握りしめ、しょんぼりと肩を落とす。

……ちがう。

何回数えてみてもやっぱり3つに分かれている。
違うものは仕方がない……目的物ではないソレを無造作にカートに……放り込もうと思った瞬間に気がつく。
商人にとっては片時も手放せないはずの商売道具が、今はない。


──また、やってしまった。


宿を抜け出すときに身軽なようにと、自分で決めておいてきたはずなのに。
つい、いつものクセでカートにしまいこもうとしてしまう自分に、淡い笑みが浮かぶ。
嘆いていてもしかたがない。
ふるりと首をふると、緩慢な動作でズタ袋に拾ったばかりのアイテムをしまいこんだ。

『クローバー 1278個』



愛用のチェインをしっかりと握りしめて。
真綿のように真っ白な髪をゆらした商人は、淡い月明かりの下でひとり黙々と白いうさぎを追いかける。





商人のあとをこっそりと追いかける、優しい影には気付かずに。












どうすれば『幸せ』になれるのだろう……?

自分なりに、一生懸命考えてはみたけれど。
自分の頭は、どうやらそういった曖昧な思考回路には向いていないらしい。
煙が出そうな一歩手前までがんばって。

どうしても分からないときは、人に聞くに限ると結論付ける。

……でも……、と思考を止めて首を傾げる。

誰に聞けばいいのだろう……?


何でも脊髄反射で即座に答えてくれる、ギルドマスターのハンターに聞いてみればいいのだろうか。

以前彼に相談したのは。
とろけるくらいに甘い菫色の瞳で、大切な人に見つめられるたびに、胸が苦しくて苦しくて、息ができなくなってしまたとき。

「どうしたらいいのか」と相談してみたら、彼は自分の荷物をガサゴソ漁ると、『バーサークポーション』と『目隠し』と『手錠』を放ってよこしてくれた。

……わけが分からない。

アイテムを両手に困惑するボクを見つけて。
ギルドメンバーのウィザードの女の子が、ものすごい形相でギルマスにつめより、全力で頭をカチ割っていた。

……よく分からないけれど、あの人はやめておこう。なんだか違う気がする。



脳みそが筋肉で出来ているというウワサのギルマスよりも、いつも親身になって相談にのってくれる、ウィザードの女の子に聞いてみることにした。


「幸せになれるモノってなに?」


聞きたいことがあるのだけれど、と相方の目を盗んで唐突に話し始めたボクの言葉に。
彼女はぱちくりと大きな瞳をまたたかせて、「うーん?」と首を捻りながら、真剣になって一緒に考えてくれた。
しばらくナナメになったのちに、ぽんと手を叩き、ウィザードがにっこり笑いかけた。

「やっぱり、ここはこう……定番のアレじゃないかな」

秘密の呪文をとなえるように。
声をひそめて彼女が耳打ちしてくれたアイテムの名は……『四葉のクローバー』。

「それがあれば、幸せになれる?」
「うん、なれるよー」
「そっか……」

「がんばって探してね」…ぐっ、と親指を立てて見送ってくれる彼女に、ありがとう、と短く礼を述べて。
さてアイテム狩りに行こうかと算段をめぐらせたところで、ハタと気がつく。

……どこにいけばいいんだろう?

全く興味の範疇外だったので。サッパリ見当もつかない。
仕方がないので、ヒマそうにゴロゴロ宿屋の床に転がっていた出不精ハンターをつかまえて問いただす。

「『四葉のクローバー』はどこにある?」
「ぅあー? ルナぶったたけば出んだろ?」
「そっか……」
「つうか、何で俺に聞く。商人のお前さんの方がよっぽどアイテムに精通してなあかんだろーが」

めんどくさそうに答えるハンターをじっとみつめて。
自分でも、どうしてなんだろうと考えて。
ふっと思いついた言葉を形にしてみた。

「いちばん、幸うすそうだから?」
「……そのケンカ、OC10で買うぞ、ウラァ!」
「スキルないくせに」
「う。ウワァァァァンー・゚・(つД`)・゚・」

事実を述べただけなのに、ギルマスは泣きながら逃亡してしまった。
強気なんだかヤラレキャラなのかよく分からない人だ。
……というか、高く買ってどうするのだろう……?
ハテナマークを浮かべて首を傾げるボクの肩に、そっと誰かの指が触れた。

「キリル、ここにいたのか」

大好きな声が、耳に届く。
声を耳にしただけでドクンとはねる心臓を押さえながら、ゆっくりと振り向くと。
ボクの一番大切な人……今は相方になってくれてる蜂蜜色の髪のモンクが、やさしい瞳でボクを見つめていた。

やわらかい笑顔に、光がはじける様にうっとりする。

深い菫色の両目がボクだけを映していてくれると思うだけで、泣き出しそうなほど嬉しさがこみ上げてくる。
不自然に高鳴る心音にをごまかすように。
慌ててボクは口をひらいた。

「リジーは、今日はギルマスたちと一緒じゃなかったの?」

公平を組めるレベルじゃないので。
相方とはいいながらも……果てしない純製造の道のりにつき合わせるのがあまりにも申し訳なくって。
臨時は嫌いだというモンクの──リジアンの言葉に……軽い引きこもりのハンターが外に出る気になったときには、一緒に行ってもらうようにしていた。

「俺はキリルと一緒の方が良い。……嫌か?」

くすりと笑いながら、覗き込むように問いかける彼の言葉に、とんでもないとぶんぶん首を振る。
嬉しいに決まってる。
「どこに行きたい?」と促すように聞いてくる彼に、「どこでもいい」と、真剣に答える。

だって、それが本音なんだ。
一緒にいられるなら、それだけで……。

……ふりすぎてちょっとクラリとしてしまった頭を押さえながら、切なくなるほど大切で大好きな人を振り仰ぐ。
蜂蜜色に輝くさらさらした綺麗な髪に、ふわふわのウサ耳がとんでもないほど良く似合っていて。



──夜になったら。

ボクはこっそり胸のうちで考えをめぐらせる。

──夜になったら、こっそり宿を抜け出そう。



幸い、常宿にしているプロンテラのすぐ北側では、いくらでもうさぎが跳ね回っている。どんくさい自分でも、なるべく軽装で出かければ、誰にも気付かれず夜の間に行って戻ってくることができるだろう。



あなたの望みなら。
どんなに果てしなくても、ボクは絶対にかなえてあげたいと願うから。


だから。


あなたのそばにいてもいいですか……?












やけにそわそわしているな、とは思っていた。

オモチャ工場へ出かけ、愛用のチェインでミストケースをたたきながらも、その視線はどこか上の空で。
いつもより余計にぼーっとしながら銃弾にさらされまくっている彼の姿に、幾度心臓が凍りそうになったことか。

「たくさん回復薬あるから大丈夫だよ」なんてとろけそうな笑顔でいってくれるけれど、とんでもない。
こんなに綺麗で可愛い存在を、誰が一人で放り出せるというのだろう。


まっしろな髪がふわりと風をはらんで、海の底のような深いマリンブルーの瞳が鮮やかにきらめく。
思わず息がとまるほど、充分に人目をひく容姿をしているくせに……自分のことには全く無頓着で。
自分のことよりもいつも他人を心配して、気がつくと傷ばかり増やして帰ってきてくれる。


「何か悩みでもあるのか?」

狩りの合い間に問い掛ければ。

「えっ? う、ううん!」

あからさまに動揺して手元を狂わせる彼に、本当に、ウソがつけない性格だなと苦笑する。

……危なっかしくて、本当に目が離せやしない。

本来なら一分一秒たりとも離したくはないのだけれど、不平等な狩りのスタイル自体がキリルの心を圧迫していると分かっているので。
不承不承ながらも、普段はソロ狩りに出かける彼を見送っているのだ。

笑顔で送り出す俺の心の中で、どんなに醜い劣情が牙を剥きかけていることか。


お前さえいれば、俺は他に何もいらない。
閉じ込めて、縛り付けて、俺しか見えないようにしてしまいたい。

けれど、それでは彼が彼でなくなってしまうから。
俺を捕らえてやまない輝く笑顔を、曇らせることだけはしたくないから。


だから。

いつまでもおれのそばにいてくれますか……?












こっそりとベットを抜け出す気配を感じながら、寝たフリを決め込む。
そっと扉を閉める音とともに、俺は滑るように部屋を抜け出し、彼のあとをつけはじめた。

……一晩くらいならともかく。
こうも連夜抜け出されたら、気にするなというのが無理な話だ。
たいして傷をつくってきているわけではないので、無茶なことはしていないみたいだが……。

別に、話してくれなくてもいい。
秘密があっても、それは個人のことだから……気にはなるけれど、問い詰めようとは思わない。

けれど。

知らないところで、彼が危ない目にあってはいないかと考えると、いてもたってもいられなくなってくる。


さすがに、待つ身も3日が限界だ。
……辛抱足りないとか言うなソコ。

恋は盲目なんだよ!……言ってて恥ずかしいな、これ。













どっちがうさぎだと言わんばかりのキリルの真っ白な後頭部を追いつづけ。
ひたすらルナティックを叩き続ける彼の姿に、 まぁ…理由は分からないけれど、強い魔物も出ないここならならそっとしておいても大丈夫だろうか、などと気を許した瞬間だった。


「あぶなっ……!」


毛玉を追いかけるあまりに、足元への注意が逸れていたのか。
バランスを崩し崖へゆっくり吸われるように落ちてゆく愛しい人の姿に。



速度の魔力を自分に向けて放ち。
次の瞬間には、その場を駆け出していた───。









間一髪。
垂直落下しかけた商人の腕を捕らえ、力任せに引き上げた。
素早さと腕力を鍛えておいてよかったと心の底から思う。

「あま…心配……させるな……」

荒い息の下で口を開くと、

「リジアン…どうして……」

「ここに?」…と彼は言いかけて。
後をつけられていたのだと気がついたのだろう。

赤い痕が残る手首をさすりながら、「心配かけてごめんなさい…」と表情を曇らせ目を伏せた。



──ああ、違う。
悲しませたかったわけじゃないんだ。

夢中になって周囲が見えなくなるクセには気をつけて欲しいが…… すっかり意気消沈してしまった彼の姿に、どうしたものかと俺はため息をつく。
気まずい沈黙。
なんとか会話の糸口はないものかと視線をめぐらせ……彼の荷物からはみ出しているアイテムに目が止まる。

「なんだ。キリル、ウサ耳が欲しかったのか?」

キリルは弾けるように顔をあげた。
驚いたように、目をぱちくりと見開いている。
思っても見なかった言葉に、純粋にびっくりしているようだ。

……違ったんだろうか。


「『やわらかな毛』が欲しかったんじゃないのか? 昼に『真珠』も出たことだし、てっきり材料集めでもしているのかと思ったんだが……あとは『四葉のクローバー』があればできるだろう?」


俺の言葉に、彼はふるふると小さく首をふる。

その顔はとても悲しそうで。

その澄み切った青い瞳にじわりと涙が浮かび上がって、今にもこぼれだしそうになっていて。

俺はみっともないほど慌てて彼の腕を掴み、抱き寄せた。
腕の中で、キリルが嗚咽をこらえるように震えている。


「リジーが、幸せになりたいっていったから。手に……入れたかったのに……あなたはもう、もって、いたんだ……」


ボクが、かなえたかった……と、消え入りそうな声で呟く。
うつむいた拍子に、ぽろりと真珠のような涙が零れ落ちた。
思わずその顔に両手を滑らせ、上を向かせて。
濡れた一対の青い宝石に、そっと唇を這わせる。


「り、じー?」


戸惑う気配が直接伝わってきて。
……あー、うん。
分かった。なんだか状況がものすごーくよく分かった。

目の前で濡れそぼった瞳を向けてくださる愛しい人は、律儀にも俺の言ったことを覚えていてくれて。
俺を『しあわせ』にしたくって、その方法を探していて。
自分でしあわせになるアイテムを探したかったのに、俺の装備品の中にすでに含まれているとしって愕然としている……と。


「お前なぁ…」

苦笑交じりに呟きながら、どうしてくれようかと思ってしまう。
……嬉しくて、嬉しくて、仕方がない。
俺は自分の頭に手をやりかぶっていたウサ耳のヘアバンドを取ると、鼻先をくすぐる白い髪の上にふわりとかぶせてやる。



「俺の言ったこと、半分しか聞いてないだろ?」


あやすように耳元で囁くと、少し赤くなった目をキョトンと見開き、彼が俺をじーっと見つてきた。
どこまでも深い青に吸い込まれそうだな、なんて思いながら。
俺は、ゆっくりと口を開いた。


「『お前と一緒に、幸せになりたい』っつったんだよ、俺は」
「……ボクと……?」


困惑したように目を細める彼に、笑いながら今度は唇に熱を落とす。


──お前さえ側にいてくれれば、俺は幸せなんだよ。


熱い息とともに、唇越しに言葉を相手に伝える。
身を焦がすような激しい炎ごと、彼の心を自分に向かせたい。


──ボクも。あなたのそばにいられれば、それでいい……。


彼はとろけるような甘い声で、ふわりと微笑んだ。








澄み切った海に溺れながら、何度も降り注ぐやさしいキスの雨。
熱をもった唇が滑るように首を伝い、胸元に降り。
はだけた胸元に滑り込んだひんやりした感触に、びくりと身体を竦ませる。




……と。

………ちょーっとまった。




流れるような動作にあやうくすっとびかけた理性フル稼働し、迷いのない指先を思わず押しとどめた。
キリルは鎖骨を弄っていた舌を止め。
顔をあげ、こくりと首を傾げる。

「イヤ?」

全身の重みで押さえつけられながら、上目遣いで見上げられて……いや、表現違うってのは分かっているんだが……縋るような眼差しが可愛くて可愛くて……。
なんといいますか。
押し倒したいのは俺の方なんだが………。

押し黙った俺をそろりとうかがいながら。
不安そうに揺れる切なげな表情に、思わず笑みがこぼれる。

──ハイ、惚れた方の負けだよ。もう、好きにしてくれ。

「嫌なわけないだろうが」

ニヤリと唇をゆがめ。
押さえつけた腕ごと掴み寄せ、真っ赤に熟れた唇を噛み付くように貪った。


──んんっ……は…ぁ…っ。


触れた肌から、全身に灯る互いの熱。


お前が望むなら。
その全てを叶えてやりたい……。







二人でかなえる願いごとひとつ。



淡い月の光の下で。
まっしろなうさぎが歌うようにはねました。










終わるさ。















++おまけ

ゆるやかに流れる時間の遥か後方で。
闇に紛れて二人を見守る(?)影二つ。

「(こっそり)……で、なんでキリルはこんなとこでルナ狩りをするなんて状況になってるの……?」

低く落ち着いた…透き通るような女性の声と、チャリ…と冷たい金属がこすれる音が落ちる。

「(こそこそ)えーーーっと」

あらぬ方向に視線をさまよわせばがらそろりと手を伸ばすと……己の首には、いつの間にか架せられていたマタ首がしっかりとはまっている。
鈍い光を放つ金属をおそるおそる視線でたどれば、鎖の端をしっかりと握りしめたウィザードの極上の微笑が待ち受けていた。


──ひぇぇぇぇぇーーーっ


思わず逃げ腰になったハンターを、クイっと軽く捻った手首で制し。
背後に巨大な閻魔をしょいながら、彼女はにっこりと女神さながらの微笑みを浮かべながら口を開いた。

「ど う し て 『うさぎを叩いている』なんてことになったかなぁ~~~っ?」

ギルマスならしってるよねぇ?…と薄ら寒い笑みを口元に優雅に浮かべてくださる彼女の表情に、滝のような汗が噴出してくるのがわかる。

最早蛇に睨まれたカエル状態。
彼が逃げる道はどこにも……ナイ。

「………俺……が……ルナから出るって口走っちゃまし……た……ごぶぅ!!!」


モンクもびっくりの鉄拳が薄い腹にクリティカルヒット。


「こーのーっ! スットコドッコイ出たとこギルマスーっ!!」
「ぐっッ…っはぁ…。い、いいじゃんよぉ。どーせ見てる方が逃げ出したくなるくらい、恥ずかしげなくらーぶらぶにくっついたんだからさ……」

涙目で懲りずに反撃するハンターの声に、ウィザードの大きな瞳がきらりと妖しく輝いた。


「うふふふ……今宵は高枕で寝られると思うなよ~?」


……キャラ変わってますけど……という声にできない悲痛な叫びは、蒼白になった喉の奥底にぴったりはりつき。

かわりに口をついてぼれ出てきたのは……──う……はぁあっ。甘く切ない天城越え──もとい喘ぎご………えぇぇぇぇぇーっ!?




いづこにも等しくやさしい月夜のもとで。
もしかしたら幸せかも知れない二人の姿がありましたとさ。





ハンタ南無。(ちーん)

























切ないくらいに甘いお話を目指しました。

↑という当時の自分コメントにふきだしました。
何語ってんだよwww

しかし時代がわかるなぁという。
ざっと5年位前だと思いますよ、むーん( ´・ω・)

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