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[SS-SW] 法則

拍手に入れていた小話をおひっこしー。


佳主馬の妹ちゃんの名前についての話しで、
[SS-SW] さぷらいず。 ←のちょっと後くらいの会話です。


人間って、案外人のことならよく見えるもんですよね。



■法則


家族が増えたばかりの少年の声は、電話越しにも、少しだけ『お兄さん』になったような頼もしさが感じられる気がする。

「名前とかはまだ決まってないんだよねぇ……」
『もう決まってる』
「え、早いんだね。まだ生まれたばっかりなのに。なんていうの? あ、教えてもらってもいいのかな」
『なに変な遠慮なんかしてんの。かなみだよ。 か な み 』
「かなみちゃんか~。どういう字を書くの? かは佳主馬くんの佳だよね」
『正解。そこ気づいたんなら、ウチの一族の法則も分かったんじゃない?』
「へ? 法則?? 何? なんだろ……」
『なんだ偶然か。数字には強いくせにこういうのは弱いんだね。健二さんて面白い』
「偶然だって立派な手段だよ……ごめん、降参」
『あきらめ早いね。いいよ、教えてあげるよ。みなみにうつくしいで、佳南美』
「佳って、優れているとか、りっぱなって意味があるんだよね。わぁ、いい名前だね~」
『………(僕にも同じ漢字がはいってるんだってば)……う、ウチには、名前をつけるとき兄妹は同じ漢字を一文字入れるっていう法則があるんだよ』
「あ……あっ! そういえば万理子さんと万助さんと万作さんがそうだね! なるほど~」
『ついでに母さんの聖美からも一文字とったんだって。女の子だと分かったら即決だったよ』
「へぇ~」

なるほど…と頷きながら、あれっと僕は小さく首を捻る。

「あの……佳主馬くん。お父さんは……?」
『ああ……なんか拗ねてたみたいだけど。母さんが「あなたはハワイ好きだから南の文字があっていいじゃない」って、笑い飛ばしてたよ』
「え……と。それって、いいの、かな?」
『いいんじゃない? 父さんそれで喜んでたし』
「……あ……喜んだんですか……」
『単純だよね。普段はあんまり表情変えなくって冷静なそぶりでいてさ、簡単なことで一喜一憂するんだ」
「…………」

もしかして……と。
僕は口の中で小さく呟く。


――佳主馬くんは、結構お父さん似なんじゃないかな。


……そう、思ったけれど。
なんとなく口には出さないでおいた。




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