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[SS-RO] インテリアサとおばかモンキュ

♂×♂ でBL表現あります。
R15です。

別にもんきゅがおばかなわけではなくアサが陰険なだけなんでは?
と思わなくもないですが。
アサ×モンクです。

アサは上下左右どこにいてもいいとおもう。
アサご飯大盛ください(キリッ


……は、おばかはわたしか。

■みつめる瞳に、とろける声に。



「怖かった?」


覗き込むように顔を寄せてくるアサシンのはちみつ色の頭を、栗色の髪のモンクはむすっと口を結びながら、無言でぐいっと押し返す。

負けん気の強い自分が死んでも『怖い』だなんて口に出さないと知っているはずなのに。

への字にゆがむほどぎゅっと唇を噛みしめるモンクは、金髪に紫の瞳という、およそ暗殺者にそぐわないような明るい配色のアサシンをキッと睨み付けた。


……敢えて聞いてくるコイツは、本当に底意地が悪いと思う。





いつもどおり、軽口をたたきながら。
いつもどおり、相方であるアサシンとともに、順調に狩りをしていたはずなのに。

……いるはずの無い場所に、突如忍び寄ってきた暗い影があったのだ。
暗い息吹を吐き出すその闇の生き物は……


──ナイトメアテラー!?


視界に映りこんだ全く予想もしていなかった魔物の姿に、オレは金縛りにあったかのように足が地面に鋲打ちされてしまった。
いけない!この場を離れなければ……と思考ばかりが焦るが、逼迫した状況とはとは裏腹に足も手も……口も、全く言うことをきかない。

ひたり、と。闇の生物が、オレに標準を定める気配がした。


──殺られるっ


攻撃を避けるにも、身体がぴくりとも動かない。

覚悟を決め、思わず目を瞑りそうになったオレと、業火を吐き出しながら迫り来る闇の獣の間に……当然のようにひらりと身を躍らせたアサシンの姿がとびこんでくる。

……心臓が凍りつくかと思った。

意識が固まっていたのは一瞬。


「ばっ、バカ! 逃げっ」


思わず口をついてでた、震える声が届かなかったワケじゃないだろうに。
アサシンは、闇の炎を吐き出す生き物との対峙をやめるそぶりも見せない。
紫暗の衣を纏った背中には緊張感のカケラもなく、余裕すら感じられる。

「闇ブレス、速度。あとは適度にヒール…できるな?」

背中越しに自分に向けられた揶揄するような声音に、はっと我に返る。
……『できない』なんて、コイツを前に絶対に言えない。

見えやしないのに、何度も頷いて。しっかしろと、震える指先を叱咤して。
ようやくオレは、自分に出来うる限りの支援と癒しの魔力を、一心にアサシンへと注ぎ込みはじめた。

見ているほうが苦しくなってくる、生命力の削り合い。


──早く…早くっ!


握りしめた拳にぎりりとツメが食い込んでいく感覚。


──早く終わらせないと。……殺してしまうっ!


なりふり、なんて構っていられない。
目の前の人間の生の力が、一瞬にして半分以上殺ぎ落とされる恐怖。


「彼のものに息づく生の息吹よ、その内なる力を解き放て──ヒール!」


どんなことがあっても相手を死なすまいと、必死で癒しの魔力を紡ぎ、ヒールを連呼する。
自分の未熟な精神力が底を尽きかけた頃に、ようやく闇の業火がアサシンの一閃で砕け散った──。





自分が切り刻まれるなら、いい。
それは己の痛みとしてちゃんと受け取ることができるから。

……でも、他人が血を流すのは嫌だ。

それが見知った顔ならもっと耐えられない。
痛くて痛くて。この痛みは、どんなに癒しの魔力を注いでも消えやしない。
心に刻まれる深い傷。

……だから。





「いちいち人のことにかまけてんじゃねーよっ。このバカ!」


戦闘が終わった瞬間、助けてもらったはずのアサシンに向かって、盛大にどなりちらしてしまった。
人が、傷つくのは嫌だ。自分のために負ってしまった怪我ならなおさらだ。

「あーはいはい」

目の前のアサシンは、ひょいっと肩をすくめながら。極度の緊張で蒼白になったオレの怒気を、いっそ優雅とも言える態度で軽くスルーしてくれる。

この憎らしいほどマイペースで、見てくれだけなら男前なアサシンが、オレをバカにしたような目つきで見るのはいつもの事なんだけれど。生死の境にあったというのに、ちっとも反省の色が見えないのほほんとした態度にカチンときて。



「……ドばかっ、大バカーっ!!
 ミラクルスペシャルメガトンばかーっ!!!」



喉の限りに叫び散らして、はぁはぁ、と肩で息をしていると。
両手で軽く耳を塞ぐそぶりをして、平然とオレの怒声をやりすごしていたアサシンが、ちらりと意味ありげに俺に視線を走らせた。

ヤツの蠱惑的な紫色の瞳に、すっといらずらっぽい光がまたたく。


「……ちなみに、バカバカ連呼する賢いモンクさんは『バカ』ってどの字をあてるか知ってるよな?」

挑戦的に問いかけてきたヤツの言葉に、実はちょっと考えこんでしまったのはナイショにして。

「うっせー、バカにすんなって! そんくらい知ってるよ。
 えーっと、『馬(うま)』『鹿(しか)』だろ!」

なんだか、相手のいいように話をはぐらかされた気もするけれど。
……ふんと鼻を鳴らし、満足げに言い切ったオレに対してアサシンは軽く首を傾げた。


「その由来は?」
「え? …う?…えっと。
 たしか龍之城の辺りの話で、昔のえらいヒトが鹿を馬っていわせたんだ」


「確か……」と、脳みそをフル回転させつつも、急にしどろもどろになってしまったオレの言葉に、アサシンは薄い唇の端を持ち上げて、ニヤリと人の悪い笑みを返す。


「『鹿をさして馬となす』という故事があるのは知っているよな?
 龍之城のとある時代の皇帝の死後、自分が正憲を手中にせんと目論む影の実力者が、没した皇帝の息子を傀儡とすべく時期皇帝に仕立てあげた。
……が、臣下の中に自分に反抗する者が居ないか心配になった諸悪の根源である重臣は、自分がまつりあげた二世皇帝に対して、何を思ったか一頭の鹿を「これは馬だぞ」と言って献じたんだな。
いくらみせかけ皇帝でもオカシイと思い「いや、鹿だろ」とつっこんだワケだが、絶頂期だった悪宦官の権力行使を恐れて、大概の臣下はわが身かわいさに「これは馬です」と答えまくった。
愚直にも「鹿だっつーに」と答え続けたヤツ者は、公然の秘密で暗殺されていった……という話から、馬と鹿という当て字が出てきたと考えられるわけだけれど──」


アサシンの唇から、つらつらと淀みなく、流暢に紡がれる声音に。
目をぱちくりとさせながら、思わずふぅんと聞き入ってしまったのだが。
はっと意識を取り直し、おもむろにぶんぶんと首を縦にふりながら勢いづいて口を開く。

「…そ、ソレ! オレが言いたかったのもそれだからっ」
「が、しかし。『鹿』を『か』と読むのはアマツの言葉だけなんよな」

言い訳がましく口をついて出たオレの言葉尻にかぶせるように。
ひどくゆっくりと唇を開いたアサシン。
「え…」と言葉に詰まり、慌しく視線をさまよわせる自分の姿を、しごく楽しそうに眺めてくださる。

「あの地方の発音では『ばろく』になる。
 ……『バカ』って、他の字があるってことは、もちろん知ってるよなぁ? 賢いボク?」
「う…あ……」

にやりと口の端に笑みを浮かべる余裕めいたアサシンとは対象的に。
オレは憮然とした表情を隠そうともしないで、悔しげに顔を歪ませながら、またしてもきゅっと唇をへの字に結んだ。

どんどん不機嫌になるオレとは対照的に、アサシンの笑みが一段深くなる。


「おバカなお前にも分かるように言うとだな。
 異国語に愚か者を意味する『moha』や無知を意味する『mahallaka』という言葉があるんだよ。これらが転じて『慕何』や『莫迦』という言葉になったという方がしっくりくると考えられている。
 ちなみにこれらは僧侶の隠語なんだが……ご存知あげないとは言わないよな?
 修 行 僧 さ ま ?」

「………っ!!」


……オレが知らないって分かってて、反応を楽しんでいやがるんだ。
本当にコイツは性格が悪い! 悪すぎる!!

装備品の頭眼鏡を、嫌味ったらしいほど優雅にかけなおしながら。
悔しいけれど思わず見とれてしまうくらい印象的な、アメジストの瞳をいっそう深くして、アサシンは流れるように言葉を紡ぐ。


「ちなみに馬鹿とは、
(1)知能の働きがにぶい・こと(さま)。そのような人をもいう
(2)道理・常識からはずれていること。常軌を逸していること。
(3)程度が並はずれているさま。度はずれているさま。
(4)役に立たないさま。機能を果たさないさま
(5)特定の物事に熱中するあまり、社会常識などに欠けること
(6)名詞・形容動詞・形容詞の上に付いて、接頭語的に用い、度はずれているさまの意を表す
……という6項目に分けることができる。お前の場合は、特に(5)が適用されるなぁ?」

同意を求めるかのようにさりげなく首を傾げられたが、誰が「はいそうです」なんて言えるかっ!
キッと射殺しそうな勢いで、俺はヤツを睨みつける。

「う、うるさいっ!! このインテリアサーっ!」
「んー? 褒め言葉として受け取っておくよー」

思わず振り上げた俺の振り上げた拳をひょいと軽く受けとめて、にっこりと微笑まれる。
のほほんとした態度を一切崩さない余裕綽々の笑顔に。
……全力で殴り倒したいという衝動が湧き上がるぐらい、とてつもなく腹立たしくなってきて。


「アサシンのくせにっ。int1のくせにーっ!」
「才能と能力はベツモノだぞ?
 知性、つまり『Intellect』とは頭脳の知的な働き・知覚をもととしてそれを認識にまで作り上げる精神的機ってことで。単純に知識量や、頭の回転が早けりゃいいってもんじゃないんだよな。
 感覚によって得られた素材、つまりインプットされた情報を整理・統一して、認識というアウトプットに至る精神機能が充実してないとな、意味をなさない。
 例えばお前の才能が100%あったとしても、5%しか能力として定着していなかったら、20%の才能で150%の能力を発揮するオレとでは、今ほどの差が出る」


ひとこと叫んだら、十倍以上の言葉の暴力でたたみ掛けられる。 


「わかったかなー、お ば か さ ん ?」





ぷっつん。




俺の中で何かがぶちきれた。


「三段掌!」

……ひょいっ

「連打掌!!」

……ザッ

「猛龍拳!!!」

……すっ


「阿修羅覇王拳!!!!」



……ずざざざざーっ



怒りにまかせて次々と技を繰り出すも、相手が素直にくらってくれるはずもなく。
暗殺者さながらの華麗な身のこなしで、するりと間合いから抜け出してしまう姿を見て。
またカーッと頭に血が上る。


「逃げるなー!」


顔を真っ赤にして叫ぶ自分の怒声に、バックステップでひょいっと遠ざかっていたアサシンがオレの顔をじーっと見つめて返してきた。
面白そうに瞬きをくりかえす紫の瞳が、怒りに彩られたオレ視線をゆるりと絡めとる。


「逃げない方がいいのか?」


ゆるやかな金色の髪をなびかせるアサシンは。
いつも見慣れている顔のはずなのに……思わずこくりと唾を飲み込んでしまうような、魅惑的な笑みを浮かべていて。

「──じゃあ、お言葉に甘えて……」

すっと細めた相手の紫水晶の瞳に、きらりと不遜な光がよぎった……と、思った瞬間に。


「は? うぇっ!?」


──つかまえた…という悪戯っぽい声音が近距離から響いたかと思うと。

けっして細身ではないはずのオレの身体は、背後からすっぽりと温かいものに捕らわれていた。
……抱きしめられた!?……と気がつき。

慌てて「放せ!!」…ともがいてみても、しっっかりと身体に回された腕はびくともしなくて。
オレの精一杯の抗議は「嫌だね」という声で軽く撥ね付けられる。
こうもしっかり腕を封じられてしまったら、反撃することすらできやしない。


アサシンの顔がオレの顔にゆるりと近づいて。


「……ひぁっ!」


ふぅ…と首筋にかかる吐息に、びくんと体がこわばる。
思わず口から出た上ずった声に、恥ずかしくて、悔しくて。


いつもいつも、いい様に翻弄されて。
魔物を前にしても何一つ反応できず、為す術をなくした自分が情けなくて。
……ゆるりと触れてくる、こいつの腕の中があんまりにも優しすぎて。


「……どーせオレはバカだよっ! オレだって戦えんのに……気がつくと足引っ張ってばっかで。……でも、たいした支援ができるわけでもなくって。
 中途半端でさ……お前に迷惑ばっかかけてるよっ!」

ちっくしょ…と呟きながら。
理想ばっかり高くてちっとも思い通りにいかない己の歯がゆさに、つんと鼻の根っこがしみて、目尻に涙が浮かんできてしまって。
それがいっそう情けなさを募らせて、力なく頭をうなだれてしまった。



「……ばーか」


心の内側にするりと溶け込むような、甘く優しい声音。
熱い吐息とともに耳元に吹き込まれた艶やかなバリトンに、身体の奥がぞくりとする。


「っ! だからバカっていうなっ……て……」


思いっきり肩越しに振り向いて。
瞳にうつったアサシンの表情に、オレは続けるべき言葉を失ってしまう。


やさしい。やさしい。
とろけるような微笑みで。
オレをまっすぐに見つめる瞳に、カッと顔が熱くなる。


──好きだ。


オレだけに告げられる音の無い声。


──オレはっ、嫌いだよっ!


反射的に囁きの魔力で返してしまった答えに、アサシンはくすっと喉の奥で笑う。


「分ってる。愛してるよ」
「だ、だから嫌いだって……んんっーっ!?」


ふさぐように唇におりてきた熱に、何もかもが吹き飛ぶ。


こうやってオレは。
口が上手くて手が早い意地悪アサシンに。
いつも……唇ごと封じられるんだ。







「お前の言葉なんか信じらんねぇ……」


灯された熱に気が付かない振りをして。
耳まで真っ赤に染まった顔を伏せるように、そっぽをむいて呟いたオレに。
アイツは思わず見惚れるような艶めいた笑みで、くくっと喉の奥を鳴らす。

「じゃぁ、体に直接教えてやろう」
「っ!?」

いらねぇ!!……というオレの叫びは。
唇に、まぶたに、耳に、首筋に……降るように落ちてくる熱に翻弄されて。



いつしか甘い囁きにとろけてしまった。










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