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[SS-RO] プリアサ

ふっと ♂×♂ と ♂×♀ 表記がひつようなんじゃね?
と思ってみました。
思いつくのが遅い罠。

それはさておきプリアサです。
ちゅーはありませんが、下ネタありです、ご注意。

■家庭菜園物語


いるもの、いらないの…と、露店売りの品物の仕分けをしていた彼の手がふと止まったのは、けっして目の前をかろやかに駆け抜けていった銀髪テコンちゃんの揺れるGカップに目を奪われていたからではない。

「おやまー、珍しいこって」

日に焼けたレンガ色の髪が印象的の、少したれ目がちのブラックスミスが目にしたのは、実に数週間ぶりに姿を表した知人の姿だった。
「生きていたんだなぁ」……と、思わず心からの声を小さくつぶやいてやると。
いかにも気だる気な表情で歩いていた顔「だけ」は極上品の男プリーストが、彼の目前でぴたりと足を止めた。
こくり、と。艶やかな髪を揺らして首を傾げるさまは、まるで女性かと見紛うくらいに優しげで。
彼をとりまく、いかにも聖職者然としたほわりとした雰囲気に、つい気を許してしまいがちになるが。

「よぉ、久しぶりじゃねぇか。まーだ生きていやがったんか? このエロBSが。
 ぼんっ きゅっ ぼんっ なイイ身体のイイ女しか目に入らない視野の狭いてめーが、よく俺様に気がつきやがったな」

ご丁寧にも両手でくびれを再現しながらニヤリと口の端を上げて笑うプリーストの姿に、ブラックスミスは軽く頭痛を覚えた。

「……わかってはいたが、やっぱり詐欺だぞ、その顔でその口調」

黙っていれば絶世の美人のクセに、その無駄に形の良すぎる唇から出てくる言葉は、見事なべらんめぇ調で、かつ攻撃的。
お世辞にも上品とはいえない言葉遣い。
根が怠惰なだけだが、ギルドの溜まり場で黙って座っている彼を一目みて。
外見だけで妄想アワーを繰り広げてアタックしてきた女女男女男男どもの、淡い恋心が消し飛ぶ瞬間を何度この目で見てきたことか。
コレで聖職者を名乗っていられるのだから、カミサマってのは相当面食いと見た。

「んだぁ? 半漁人が編み物をしているのをMPK直前のトレイン状態で目撃したようなブサイクなツラしやがって」
「いやそれ、わかるよーで分からんから」

プリーストの、一般人には微妙に理解が難しい独特な言い回しに思わず苦笑する。
天上天下唯我独尊全ての道は己に通ず……のような典型的オレサマ思考のこいつをキライじゃないが、やっぱり変なヤツと再認識。
もとからギルドに貢献するような殊勝な性格をしているわけじゃないと知っているし、別にうちのギルド自体活発に活動しているわけでもない。
なんとなく顔見知りがつながって出来たようなゆるい雰囲気なのだから、普段お互いが何をしてようがしったこっちゃないのだが。

――だが、さすがに一ヶ月近くも全く連絡ナシっつーのはあんまりじゃねぇのか?

奉仕の精神など最初からあてにしていない。
欲しいのは純粋に狩りでの支援と――この男は破壊的でも一応支援型なのだ――製造での支援。
必然的に、パーティの要となるプリーストはどこへ行くにも大切な人員となる。

「……おぅけぃ、わかった。さっきの何気ない俺の呟きがあんたにとって非常に癇に障る不愉快な発言だったらしいっつーのはあやまる。
 けどな、溜まり場にもこないわ、連絡もよこさないわ、ギルハンにすら顔を出さなかったのはおまえさんだろうがよ」

「珍しいなんていわれても文句言える立場じゃないだろう?」……とブラックスミスがちらりと視線を投げかければ。
たちまち、ぎゅっと寄せられたプリーストの眉根が峡谷を描く。
苦虫を噛み潰したような見事な仏頂面で、プリーストが口を開いた。


「あん? 俺がどーなろうがてめぇには関係ねぇだろうが。お前は俺の恋人か? 母親か?
 いっとくがお前にブチ込む趣味はねぇし、ブチ込まれんのもご免だってぇの」
「ぶはっ、気色の悪いこと抜かすな! オレは女体のふかふかーな胸が好きなんだよ、愛してるんだよっ!
 どんなに極上悶絶美人でも、真っ平らな胸に天地がひっくり返っても用はナイ!!」
「てめぇ、全世界の洗濯板を愚弄しやがったな。分かってねぇな、小さかろうが大きかろうが、擦れるのがイケるんだっての。
 所詮入れる穴さえありゃ用は足せるだろうが」
「こんの性職者ーっ! お前は少しは 恥 じ ら い を 知 れ っ !」
「うっせぇなぁ、声だけはでけーんだから、ちったぁボリューム下げやがれこのクホBS。てめーの息子も精錬すっかぁ?」
「けっ、馬鹿め。オレのマイサムはとっくの昔に+7精錬済みだっての」
「+7だぁ? +10くらい言えねぇのか、相変わらずケツの穴の小さい野郎だな。
 だいたい、上着と足は来たまんまで下だけひっぺがしてヤんのが一番だ……とかぬかしてた変態はおめぇだろうが」
「おうよ! 足装備はつけたまんまで一発ってーのは男のロマンだろうがっ」
「馬鹿ぬかしてんじゃねぇよ。男のロマンは縛りに前後と決まってんだろうが」
「お前なぁ……」


「本当に聖職者か……?」…と呆れ気味にため息をつき、ブラックスミスがひょいと肩をすくめてみせると、眼前の超美人は「うるせぇ、俺様に能力がありすぎんだよ」と嘯き、口元をゆがめてニヤリと笑う。
似合いすぎるその仕草に、ブラックスミスもつられたようにふきだした。

もとより、本気で怒っているわけではない。
あまりにも音沙汰なかったのもので、知り合いのよしみとして「どこかでくたばったのか?」…とポリンの先っぽほどに心配していたというだけだ。
冒険者など、いつどこで朽ち果ててもおかしくはない、刹那の瞬間をつないだ時を歩いている。
薄い縁かもしれないし、愛情とか友情とかいう束縛めいた感情からはかけ離れたものではあるけれど。
であった以上は、なんとなく相手を大事にしたいと思う気持ちも本当なのだ。
これくらいのバカ話をしていたところで、静粛な神様といえどバチは当てないだろう。

……こいつがプリースト職をやってられるくらいだから、絶対大丈夫だろうがな。


「んで、話はもどるけどよ」

ひとしきり笑い終えた後で、再びブラックスミスは口を開いた。
話をふられたプリーストは、ブラックスミスの隣に腰をおとしながら「んあ?」…と、めんどくさそうに顔を向けてくる。

「ほんとに最近全く姿をみせなかったよな。何やってたんだ?」
「ああ…………趣味ができたんだよ。すっかり夢中になっちまってなぁ……」
「しゅう~みぃ~? なんだぁ、外気の温度変化を全く無視した感情の変温動物の代名詞のようなお前が??」

珍しい……と、本気で感心しながら呟けば。
プリーストはその秀麗な眉をピクリと跳ね上げて口を開いた。

「ひとを爬虫類に例えんじゃねぇよ、失礼なヤツだな」
「わりーわりー。でもなぁ…」

軽く形ばかりの詫びの言葉を乗せつつも、ブラックスミスはあからさまに顔をしかめる。
どーにもこーにも腑に落ちない。
この男が『趣味にいそしむ姿』……脳内スクリーンが上映を拒否するどころか、スキルはなくてもバックステップ&テレポで逃げ出してしまう。
しきりに首をひねるブラックスミスに、白磁の肌に長い睫が影を落としつつ、聖職者は『にっこり』と微笑んでみせて。
ゆっくりと、声を落とした。

「けっこう楽しいもんだなぁ? 家庭菜園ってのは」

「はぁ……?」……聞き間違いかと思い。
赤茶色の髪のブラックスミスは、思わず疑問符を投げかけながら何度も目をしぱしぱと瞬かせた。


「 か て い さ い え ん ~ ? 」


血のしたたりそうな超レア肉ばっかり食ってる完全肉食主義で、野菜のことごとくを『草』呼ばわりのお前がっ!?

「気の抜けた返事をすんじゃねーよ。
 あんまりぼけっと口あけてっと、しまりのねぇタレ目にくわえて、ただでさえ間の抜けた顔が更にバカ顔になんぞ」
「生まれついての顔の構成はほっとけ! とーちゃんとかーちゃんの苦労の結晶なんだよ……じゃなくて、だな。…つーかなんつーか…」
「意外だっていうツラしてやがんなぁ」
「いんやぁ、そーゆーわけじゃ……」

大アリだ。
ビックアント。
おお、アンドレ、ピエール、デニーロ。
この男が家庭菜園だと……?!

「野菜嫌いのオマエさんが何でまた!?」
「手間をかけるだけ愛情もひとしおってなぁ…」
「(属性考えるのも面倒だから、キリエのみでモンハウに突っ込ませて、公平解除しつつ全部遠距離HL連打で敵を沈めて、挙句にヒール1Lv毎に料金表掲げて金よこせとかほざいていたお前が?!)」
「成長過程を見守る喜びっていうんかなぁ…」
「(にあわねぇぇぇぇええ)」
「特に最近は収穫時期が近づいてきたせいか。本当に色ツヤもよくなってんだよなぁ」
「………ホントに嬉しそうだな、オマエ…」
「ああ、ちょうど良かった。今から会わせてやるよ。特別だぜ?」
「ほーほー……」


 あ わ せ て ?


「……なぁ、念のために聞いておくが……お前は一体何を育てているのかと……」
「キャロットー、こっちだー」
「!!! おれの名前はキャセットだっつってんだろーーーっ!!!」

プリーストの声に呼応するかのように。
怒りのためか顔を上気させて駆け寄ってくる子犬のようなシーフの髪は……光を受けてキラリと際立つ鮮やかな橙色で。

「何度も間違えんなよ!」
「あーわりぃ。そう怒んなって」
「アンタがいっつもおれのこと子ども扱いするからだろ!」
「キャロ……あんま可愛いことぬかしてっと襲うぞ」
「っ! な、な、何わけわかんないコト言ってんだよっ! だからおれはキャセットだってば!!」

目の前で展開された甘々恋人劇場に、ブラックスミスは「hahahaha…」…と目を宙に泳がせる。


「あー、にんじんねー(棒読み)」


カロテンたっぷりのみずみずしいオレンジ色。
鮮やかな色彩のシーフの髪が、軽やかに風にそよいでいる。

「お前、本当にこーゆー時だけはマメだよな」

あきれ返った表情で、数々のアレでソレな思い出を心底噛締めながら呟いたブラックスミスに。
プリーストはニヤリ……と。鋭すぎる瞳以外は極上の笑顔で微笑んで。
まるで、心の奥底から神にたいして真摯に祈りを捧げるかのようにすっと片手を胸に掲げる。

「お褒めに預かり恐悦至極」



ほめてねぇ。



じとーっと、うろんな瞳で見つめるブラックスミスの視線なぞどこ吹く風で。
どこか愉しげに瞳を煌かせたプリーストは、興奮のためか、真っ赤に両頬を高潮させたシーフの両手を当然のようにつかみとって、自分の目の前に座らせた。
……つと、何事かに気がついたのか、プリーストが目の前の相手を拘束しながら首をかしげて目を細める。

「んー?」
「な、なんだよ!!」

覗き込んできたプリーストにびっくりして、戸惑ったように小さく叫んだシーフの問いに答えることもなく。
プリーストは、べりっ……と、音がしそうな勢いで少年のマフラーをはぎとり、差し出したその腕で腰を引き寄せ胸元に顔を埋めた。

「…あっ、何っ!? ちょっ……んっ」
「(ちゅう~~~~~)なんだ……もう消えてんのかよ。あんだけ付けといたってのに、やっぱり所有者はハッキリさせとかんとなぁ?
 どら、宿屋に帰るとすっか」
「えっ、ちょっ。おれ、これから狩りに行くんだってば!!……あとちょっとで転職できるって言ってんだろっ! このエロプリ!!
 っ……やっ、ドコさわって……んんーっ!!!」

腕の中でもがくシーフなど意に介さず。
服の下――あれは腹巻きという名称でいいのだろうか――に手を滑らせ、周囲の人間にお構いなくダイレクトに肌を弄っている(名だけは)聖職者の顔を見て。
ブラックスミスは思った。


――食ってんじゃん。





「んじゃ、俺らは帰るから。おめーは寂しく一人で扱いて始末してな。クホんじゃねぇぞ」
「よけーなお世話だっての! 散ってしまえ!!」


あれやこれやな刺激に、抵抗する意欲すら削がれてぐったりとしてしまったシーフを軽々と脇にかかえ。
スキップでもしそうな勢いで遠ざかってゆく知り合いの姿を見て、タレ目のブラックスミスはふたたび思った。


――『野菜嫌いも食べられるキャロットはいかが?』……なんつって。


いやアンタそれ。人身売買とか売春斡旋とかいわれるから……と。
オヤジギャグを炸裂させているブラックスミスに突っ込みを入れる誰も者は、残念ながら誰ひとりとしていなかった。






終わり

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