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義勇軍(仮)の長くて短い一日 『夜』

スマホアプリのチェンクロでのログホラコラボで、ログホラメンバーはその後無事にエルダーテイルに戻れたんじゃないかな妄想物語の3話目です。

女の子はかわええのぅ(*´∇`*)


きらきらと冴えた光を注ぐ星空に向かって、はぁ…とミノリは息を吐いた。
現実世界での夜空と、現実になってしまったエルダーテイルの夜空には、同じ位置に星々がある。地球をモデルに半分のサイズにしたというのがエルダーテイルという設定なのだから、それは当然のことなのだろう。
ゲームのエルダーテイルにそっくりだけれど、まったく別の世界にいるという事は理解している。それでも、自分の知っている現実と重なる部分があるということに、ミノリは実はかなり安心していたのだ。

「でも、あの世界は違った……」

エルダーテイルに入り込んでしまった時同様に、何もわからないまま一人きりで突然迷い込んでしまったもう一つの世界。
ほんの少し前までいたその世界——ユグドでは、まったく異なる星座達が夜空を彩っていた。
現実とつながっていると言う縁と指針を失い、どこにいるのか分からなくて誰に何を尋ねたら良いのかもわからず、途方に暮れてしまった。
偶然たどり着いた村で魔物に襲われている人を無我夢中で助けて、その世界で頼れる人たちと巡りあうことができた。
すごく幸運だったと思うけれど、とても不安で、たまらなかった。
(だけど、星の輝きは一緒だった)
現実世界の都会にあっては、ついぞ見る事も適わなくなっていた満点の星空が、エルダーテイルともう一つの世界にはあった。浮かぶ星の位置こそは違えど、澄み切った夜空の美しさは一緒。
それに気がついた瞬間に、体中に蔓延っていた不安がなんとなくふっと楽になったのだ。
(私が気が付いていないだけで、同じ事はまだきっとある。ううん、ここはきっと、全く知らない世界なんかじゃない。だから、もっともっと見て、聞いて、考えなくちゃいけないんだ。何もしないままじゃ、帰った時にシロエさんに会わせる顔がないもの……!)
星だけじゃなくて、人が人として生きる力も、人が人を信じる心の強さも、どこにいたって変わらない。
(シロエさんなら、きっと……)
彼女の恩師にして憧れであり最大の目標である彼であれば、自分にできる事は何かと考え分析し、その先の未来を見据えて動くはず。そう確信したミノリは、すぐに行動を起こした。
神祇官としての護りの力を活かすべく、黒の軍勢と呼ばれる魔物と対抗するために組織されたという『義勇軍』への参加を希望したのだ。
いつまでいられるかは分からない、でもいわれのない暴力におびえる人たちの力になりたい。そして一緒に戦いながらこの世界の情報を集めて、エルダーテイルへ帰る手段を探そう……と。

「おや、ミス・ミノリ。奇遇だねぇ、やはり君もボクの力を頼ってここに来たんだね。そうだろう、そうだろうとも! ここにはこのボクがいるのだからね、安心するといい。なんせボクの能力は全ての魔物を焼き尽くす偉大な炎の持ち主なのだから!」

意を決して参加した義勇軍には、実は同じような経緯をたどって来ていたシロエや直継やにゃん太やルンデルハウスまでもが当然の様に馴染んでいて。
今までの不安はいったいなんだったのか……! と、安堵のあまりに泣きそうになって、思わず無駄にきらきら度を増しているわんこ王子ことルディの頭を思いっきりはたいてしまったのは、彼女胸の内にそっとしまわれた秘密である。

「ミノリー。何してんだこんなとこで」

冷えるぞ? と背後からかけられた耳馴染みのある声に、うんわかってる、と空を見上げたまま小さな声で返事を返す。

「また考え事かよ。あんまり考え込んでばっかいると、シロエ兄ちゃんみたいに引きこもりになっちゃうんだぞ」
「シロエさんは引きこもりなんかじゃない。ただ、ちょっとみんなよりたくさんの事を考えすぎて、みんなこのとを思って、ほんの少し動きづらくなっているだけだもの」

そう、いつだってシロエは、たくさんのことを抱え込んでいる。
いろんなことを考えて、考えて、考え抜いて。何十通りもの未来予測を立てている。
だけどそれは、自分のためじゃなくって、みんなを守ろうって思っているから、自分から動く事ができなくなっているってことが、彼女にもほんの少し理解できるようになってきたのだ。

「そういうのを引きこもりって言うんだろー」
「もう! そういう言い方しないの、だいたい、トウヤはいっつも考えなしすぎるのよ」

憎まれ口を叩く弟を嗜めようと、夜空から視線を外して振り返ったミノリの目の前に、暖かそうな湯気がほわりと立ちのぼるマグカップがずいっと差し出された。

「あ、ありがと」
「ん…」

受けとったカップからは、ミルクの甘い香りがする。
ミノリの双子の弟トウヤは、ミノリとは色違いのマグカップを片手に、ひょいと彼女の隣に腰掛けた。

「いいなーミノリは。ルディ兄もだけどさ、いつの間にか姿が見えなくなったと思ったら、知らない間に冒険旅行とかしてきてるなんて、ホントずるいぜ。あーあ、俺もシロエにーちゃんたちと一緒に闘いたかったなー!」
「トウヤったら、私たちが帰ってきてからそればっかり。そんな、いいことばっかりじゃなかったんだよ。……不安、だったんだよ?」

一人放り出された恐怖を思い出して、ふるりと震える。
消えゆくように掠れる彼女の言葉に、こくりと頷く気配がした。

「うん……最初ひとりぼっちだったったっていうから、怖かったんだろうなっていうのは想像できる。でもさ、そんなのふっとぶくらい、みんなすんげー活躍したんだろ?」

——そう、すごかった。
これは大規模戦闘——レイドであると断言したシロエ。
戦闘の指揮権限を自分に任せてほしいと、義勇軍のリーダーである隊長さんに告げたシロエの顔は、絶対に『勝たせる』という気迫に満ちあふれていた。
シロエの采配によって敷かれた完璧な布陣——全力管制戦闘を目の当たりにして、やっぱりシロエは本当にすごい人なんだという思いを強くした。
(でも、私は気がつかなかった。あの世界にいる間、シロエさんはとても近くにいてくれていたのに。ずっと迷ってただなんて、分からなかった)
ユグドにとって重要なきっかけになるであろうレイドに、異なる世界からの客人にしかすぎない自分たちが関与していいものかと、彼が悩んでいるとミノリが気がついたのは、戦いが終わったもっとずっと後の事だった。
いまになってみれば、にゃん太も直継もシロエの様子を気にしているようだったと思い当たる。けれど、二人は何も言わずに彼の言葉を待っていた。どんなに迷っても、決断するのはシロエ自身にしかできないと、彼らは判断していたのだ。
何も知らない彼女には、黙するシロエの背中を見る事しか出来なかった。
そして、思い悩む彼の背中を押したのは——

(アカツキさん……だった)


 ——主君は、絶対にレイドへ参加する。


だから、先に行って待っている……と。
人づてに届けられた黒い燕からの言の葉が、瞬く間に彼の心を解放する。
自分には手を伸ばす事も適わなかったシロエの背中に、空を翔る燕の様なアサシンの少女は当たり前のようにその背に触れて、更に先へと連れ出して行ったのだ。

(アカツキさんが、うらやましい)

そんなこと、考えるのはおかしい。
わかっているのに、そう思ってしまう自分の心のあり方に、ミノリの胸の奥がちりちりと痛む。

「ミノリはさ……」
「……」
「ミノリは、ミノリにできることをする。そうだろ?」
「……うん」

トウヤはたぶん、ミノリが何に心が張り裂けそうになっているかまではわかっていない。でも、彼女が何かを思い悩んでいる事は感じている。
この双子の弟は、まっすぐで不器用で軽はずみな行動ばかりして冷や冷やさせられることもあるけれど、いつだってミノリの味方で、いつだって厳しくて優しい。

「んじゃあ、いっぱい悩めよ。そんでもって、必要になったら呼んでくれればいい。動くのは俺の役目だ」
「う、うん……ありがと」

戦闘フォーメーションの話じゃないんだけどな、と思いつつも、トウヤらしいなぐさめ方にぷっとふきだしてしまった。
いまの自分は、ギルドという庇護の中で、示されたミッションに対しどうすれば効率的かを考えて動くのがやっと。ううん、それすらも上手くなんて全然できていないと、悲観ではなく冷静に自分自身のことをミノリは分析する。
そう、いまはまだ、なのだ。
ミノリが目指しているのはシロエの背中であり、その先である。

「できるかな」
「やるんだろ」

そうだね……返す彼女の声は密やかだったけれど、星の光を受けて強く輝く横顔を見て、トウヤは満足そうにニカっと笑った。










「主君。茶にしないか」
「うわぁっ!」

にゅるりっと天井から降り注いだ硬質な少女の声に、シロエの体がびくりと跳ね上がる。動いた拍子に腕をぶつけたのか、サイドテーブルに無造作におかれた書類が数枚ふわりと飛び散ってしまった。

「……むっ」

天井の声の主が小さく唸り、トンと足場を蹴り出す音がした。
シロエの目の前で蝶の如く舞う紙たちが、するりと伸びた華奢な手によって、一枚、二枚…と、次々すくい上げてられてゆく。
くるりと綺麗に円を描いて空中回転までしてくれた黒髪の少女は、すたっと床に片膝付きで着地した。
まるで曲芸のような見事な空中技に「おおっ」っと思わず拍手しそうになって、はたとシロエは思い留まった。いや、ちがう。いま問うべきところはとこではない——気がする。

「あのさ、アカツキ。もうちょっと普通に声をかけてくれないかな、なんて」
「驚かせてしまったか? ふむ、それは悪い事をした」

差し出された紙の束受けとりながら控えめに提案すると、少女は素直に頷いた。
だがな、とアカツキは主君と仰ぐシロエを恨めしげにじっと見る。
とはいっても、小柄な少女はどうしても彼を見上げる形になってしまい、睨んだところでいまいち迫力はでないのだが。

「主君も悪いのだぞ。急に声をかけては無礼かと、休憩を取るタイミングをずっと天井でうかがっていたのだが、ちっとも休憩をとるそぶりをみせないし。真上にいるというのに全く気がつかないし。まぁ、待つのはちっとも構わないのだが、このまま放っておいては日が変わってしまいそうだったのでな」

それに、休憩は適度にとらないと体に悪い! ……とむくれる彼女の言葉にシロエは唖然とする。

「あ、あれ? そういえば……もう真っ暗だね」

デスク上のランプが煌々とデスクまわりを照らしている。自分で明かりを灯していたらしいのだが、まったくきれいさっぱり覚えがない。
いつの間に……と呟くシロエの体内時計ではまだ午前中くらいのつもりだったのだが、世間流れはもっと早かったらしい。
(って、えっ、あれ。アカツキはいつからここに?)
微かに首を傾げて問う主に対し、彼女は心無しか胸を張って答えた。

「朝の鍛錬が終わった後くらいからだったと思う。机に向かう主君の背中が見えたのでな、ちょうどいいから窓から入らせてもらった」
「そんなに!? えっ、半日以上、って、そんなに待たなくていいから声をかけて。あと、なにがちょうどなのか意味分からないし普通にドアから来て!」
「冗談だ」

(どのへんが?)
真顔で冗談と言い張る相手にどう突っ込むべきかためらっていると、彼女はふっと相好を崩した。

「本当は夕食後だ。それほど待ってはいない」
「十分だよ」

今が深夜と呼べる時間帯だと気がついたあとでは、説得力に欠けるどころの話ではない。
脱力気味に肩を落としたシロエとは裏腹に、今日のアカツキはなんだかとても楽しそうだ。
ふふっと、シロエに向かって笑いかける。

「主君はちょっと根を詰め過ぎだ。だからな、茶にしようと誘っているのだ」

ほれっと促されて、彼女が差し出してきたものを何となく受けとってしまう。

「これは……」
「ユグドの土産だ」
「ユグドの?」

ほんの少し前まで滞在していて、エルダーテイルではない世界の名前が出てくるとは予想もしていなくて。シロエは渡された小包をまじまじと眺めてみた。
可愛らしくラッピングされた小さな紙包みからは、どこにも『異世界らしさ』は感じられない。ほのかに甘い香りがする、ごく普通のお菓子の包みといった体だ。

「私たちがあの世界に迷い込むちょうど一ヶ月ほど前にだな、ユグドでは『愛の聖人の日』というものがあったらしいのだ。普段世話になっている相手などに、親愛の証に菓子を贈るのだそうだが、フィーナはイベントごとには疎かったらしく、何やら大騒動も起こっててんやわんやになって、結局みなに渡せなかった事を悔いていたらしい。だから、ひと月遅れになるけど義勇軍のみんなにもらってほしいと言ってな、私たちにも持たせてくれたのだ」

その頃のシロエは、元の世界に帰れるかもしれない——と、あちらこちらに奔走していた時期であったので、アカツキが代表で預かっていてくれたらしい。

「そうだったんだ。ありがとうアカツキ。それにしても……まるで、バレンタインとホワイトデーみたいだね」
「主君もそう思ったか?」

少女の瞳がくるりと丸くなる。
目を大きく見開く仕草が小動物みたいで、いっそう幼く可愛らしく見えるのだが、それを口にすると彼女の機嫌を損ねるだろうとわかっているので、シロエは賢明にも口をつぐんだ。

「私がもそんな気がしてな。少し、不思議な感じがしたのだ」
「遠いと思っていたけど、ここと向こうは案外近いところでつながっているのかもしれないね」

(それにしても、『親愛』か……)
異世界との絆の証を手に、シロエはふっと重い息を吐いた。

「主君、どうした。具合でも悪いのか?」
「あ、ごめん。ユグドの事を言ってたら、ちょっと思い出しちゃって」

心配げに覗き込むアカツキに、大丈夫と軽く首を振る。

「向こうでさ。また、アカツキに助けられちゃったな……って」
「……? 土産はこれしか持ってきてないぞ」
「そうじゃなくて、レイドの時の話だよ」 
「それなら、主君が戦場に駆けつけてくれたのだから、私の方が助けられたのだと思うのだが」
「アカツキは伝言をくれたじゃないか」

 ——主君は、絶対にレイドへ参加する。

どうすれば一番いいのかと、未確定の未来に捕われて身動きが取れなくなっていた自分の背中を、あの一言が押してくれた。
迷ってばかりで頼りない自分を決して見放さず、シロエの事を信じて動いてくれていた。

「ああ、あれか。あれは……私は主君を——みんなのことを知っているから。私は主君に仕える忍びとして、私のできることをするべきだと結論付けただけだ」

心からそう思っているのだろう。
当然のことをしただけだと言う彼女には、何の気負いも感じられない。

「だから、主君に対して伝言などと、本当は無用なことだとはおもったのだが……」

そこまで淡々と言葉を紡いでいた彼女が、何故か急にバツが悪そうに視線をさまよわせた。
途中で言葉を切ると、つっと横をむいたまま押し黙ってしまう。
どんしたんだろうと思いつつも、無理に先を促す事はせず、シロエはじっと続きを待った。しばらく沈黙が続くと、彼女の方が耐えきれなくなったのか、ぼそり……とか細い声が落ちた。

「……臭かった、のだ」

(——は?)

声には出ずとも思いっきり顔にでていたらしい。ぽかんと口をあけたシロエに対して、ヤケになったようにアカツキが叫んだ。

「だから、ニオイがキツくて臭くてもう耐えきれなかったのだ!」

獣臭というか、汗臭いというか、モノが腐った饐えた臭いというか。
エルダーテイルではゲーム的感覚が多く残っていたせいかさほど気にならなかったのだが、ユグドはより現実感が強いらしく、とにかくありとあらゆる臭いが鼻にきた。
おかげで黒の軍勢の後をつけても気づかれる心配は全くなかったが、むんむんとたちこめる臭気はまったく薄らぐことはなく、あまり長期間お付き合いいたい環境ではない。
追跡者としてのスキルを持つアカツキは、戦場に身を投じて幾日も潜伏したりと大概のことは平気なはずなのに、臭いによる波状攻撃に我慢の臨界点を感じていた。
信じてるし、疑ってもいないし、待っているのも全然全く平気、なのだが。
できれば、ほんのちょっとでも早い方が嬉しいかなー……などと、言えない思いを込めて限られた時間の試行錯誤の末に出来たのが、あの伝言だったのだ。

「って、主君、わらうな!」
「く……ご、ごめん……つい……」

片手で己の口をふさいでだシロエの肩が、あからさまに震えている。

「あはははっ!」

とうとう声をあげて笑い出した主を、小柄な忍びはぷくりと頬を膨らませて睨む。

「だから言いたくなかったのだ……」
「ごめんよ。でも助かったのは本当だから」

笑いすぎて涙が出てきてしまった目尻を拭いつつ。
あらためまして、と前置いて、シロエはアカツキに向き直った。

「いつもありがとう、アカツキ。側にいてくれて、助かってる」
「だっ…」

だから礼は不要だといいかけて、アカツキは、言うべき言葉はこうじゃないなと思い直した。
うん、と小さく頷いて、アカツキもちゃんとシロエに向き合う。

「主君は好きなだけ悩んでいい。私は……みんな、ずっと待っている。待つのは嫌な事ではない。信じて待つという事は、とても心地よいことだから」

(だから。いつも、一緒だ)
声にはならない言葉も、ちゃんと届いていると、アカツキは知っていた。



「じゃあ、せっかくいただいたものだから。食べよっか」
「そうだな主君。半分こだ」

袋を開けて取り出した、大きめのクッキーを一枚取り出し、半分に割る。
いびつな半円をそれぞれ手に持ち、せーの、で口を開いた。


パクっ。










「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!??」















その日、アキバの街はおおむね平和であった。




















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アカツキを凸れなかった寂しさをぶつけてみました。
魔神100体以上倒したのに……うっ(;ω;)

何となく、オチは想像はついてたんじゃないかなと思います( ´・ω・)
これをやりたいがために……すみません、すみません。

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