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[SW] S-kiss

なんてじめ暑い毎日なんでしょう。
こんな日は体が水分を欲しますよね。

ってことで、本日は同僚と麦汁を給油してまいりました。

週も半ばなんで、さらっと軽く飲むくらいだったんですが
いろいろ衝撃的なことが発覚しまして

ははは
はははは・・・・(遠い目


とりあえず。
樽生モルツ万歳。




■更新

だいぶ前にオフで出したサマウォ本「S-kiss」の中身、2話目です。
カズケンカズです。
あ、あ、あ、あま……(ばたり)

ちなみに S-kiss はSpecial なkiss ではなくSecret なkiss でもなく
スカイラークでキスしちゃったよなわけもなく
好きの複数形で「すきっす!」です。

わー、おやじぎゃぐだー

ことばって、むずかしい。

身の内に抱える思いを自分以外の誰かに伝えるために言葉が存在するというのなら、こんなに使用方法がややこしくていいのだろうかと首を捻らざるを得ない難解さだと言えると思う。
とりわけ、感情表現ってやつはとびっきり強敵だ。
いつ・誰が・どこで・何を・何故・どうやった?……なんて業務報告よろしく整理整頓された日常会話を繰り広げる必要性なんてないのだろうけれど、ある程度筋道を立てなければ自分自身ですら理解できない。
なにせ、たった二文字の語句にすら、何通りもの意味合いが存在するのだ。
好き——という。口にするのも面映い言葉には、様々な種類があるってことくらい天下無敵の恋愛音痴と言われてる(らしい)自分だって分かっている。

まぶしい太陽を見上げるような憧れの好き(これは高校のアイドルだった夏希さんに抱いていたもの)とか無条件で側にいることを許される家族の好き(これは自分の家族や陣内家のみなさんに抱くもの)とか趣味や食べ物や着るものなどに対するもっと単純でありふれた好きとか。

それぞれの気持ちの向くベクトルが違うってだけで、勝敗や優劣があるわけじゃない。
ただ……それらのどれとも『違う』とハッキリ分かってしまうタイプのものが、困ったことにこの世には存在してしまうのだと気がついてしまった。
いや、思い知らされてしまったというべきなのか。
それは、口にされただけで、心のなかがふわりとするような……

「——健二さん」
「うわっ!?」

背後から耳元に忍び込むように落ちた低い声に、僕の肩が文字通りびくりと飛び跳ねた。同時に動いた指が出しっぱなしだった流水を跳ね上げて、僕の顔にぱしゃんと数滴飛び散った。ああびっくりした……と胸のうちで呟きながら、顔についた水を片手でぬぐっていると、とん…と背中に重みがかかって、
「……健二さん」
自分にだけ聞こえるくらいの声で、もう一度彼が僕の名を呼んだ。ちょっとだけ鼻にかかった、甘えるような彼の声が、実は結構嫌いじゃなかったりする。
シンクに向ながら泡だらけの食器に手を伸ばした僕は「なに?」——と声だけ相手へと投げかける。振り返りもしない僕の態度がご不満だったらしく、背中にかかる圧力がぐんと増した。

「好き」


ガシャン!


……えっと……とりあえず。『聞こえなかった』(ことにした)から、食器の洗いもの続行。汁椀は漆ものだから早く洗って水気をふき取って乾燥させないと。コップがぶつかって派手な音がしたような気がするけど気のせい気のせい。

「健二さんの声が好き」
「……」
「健二さんの瞳が好き」
「な、な、なに、何なの!?」
「健二さんの全てが好きだ」
「……えっと。それ、答えになってない……よね」
「貴方が存在してくれたことに感謝してる。好きだよ」
「君と話をしていると、自分にどれだけ言語読解能力がないのかなと自信がなくなってくるんだけど」
「数字解析能力が常人離れしてるからいいんじゃない?バランスはとれてる」
「あの……ね」

洗い物してるんだから、もうちょっと待ってて……と言い含めると、背中のコバンザメはうんとかすんとか口先だけは聞き分けの良い返事をしながら、僕の腰に腕を伸ばして抱え込む。

「言葉と行動が一緒だと嬉しいんだけど……?」

非難めいた僕の声と同時に、腕の主がぎゅっとしがみついてきた。

「健二さん。あいして——」
「うわっ、ちょ、ちょっと! それ待ってっ!!」

慌てて腰に回されていた腕を引き剥がし、ぐるんと体ごと振り向いて、余計なことばかり言おうとする相手の口を封じるべく手をかざす。実力行使で口を塞がれた彼は、僕の左手の向こうで微かに眉を寄せた。
手のひらに触れる唇の動きで「つめたい」と言っているのが分かる。
そりゃそうだろう。身の凍るような真冬でもなし、いちいち給湯器のスイッチを入れるのも面倒で二人分の食器ぐらいいいかと水のままでざぶざぶ洗っていたのだ。流水に濡れた手のひらが冷たいのは当たり前だし、そもそも、佳主馬君が大人しく待っていてくれたなら手をかざす事もなかったわけで、文句をいわれる筋合いはないのだ。
……とか、自分自身に言い聞かせている時点で何か間違っては気がする。
悲しい顔をさせたくないというか、結局この相手には弱いんだよなとか自問していた僕の耳に、ちゅっと、あからさまなリップノイズが響いた。

「へぅわっ!?」

キス、された……?

口を塞いでいた手のひらに相手の唇の熱を感じて、カッと喉の奥が熱くなって。奇妙な叫び声を上げながら慌てて手を引っ込めたら、ふっと鼻先で笑う相手の秀麗すぎる顔が目に入りじんわり頬が熱くなる。初めて会ったときにはまだ中学生で、背だって自分よりだいぶ下で。
理想と現実との狭間で悩んだり立ち向かったりと、不器用だけどとても真っ直ぐなやさしさが可愛かったこの年下の友人……だった相手は、余計なところばかり成長を遂げてくれた気がする。

「か、佳主馬くんって、すぐにそういうこと口にするよ、ねっ」

妙に上ずってしまった声には気がつかないで欲しい、切実に。自分としても、冗談交じりに艶めいた会話をされるだけで動悸息切れ眩暈に果ては出血多量で貧血直前の鼻血まで出てしまうのはいささか情けないとは思う。
けれど、少なくとも今目の前にいる相手は自分にとってはとても特別な人で、大切なのだと思い知らされてしまってからは些細な言動がいちいち僕の感情を揺さぶってくれるのだ。
少しばかり意地の悪いところがある彼は、どうもすぐに顔に出てしまう僕の反応を見て面白がっている節がある。

「そういうことって?」

僕の願いを知ってか知らずか(たぶん気がついてはいる)、不思議そうに返してきた相手に「だからそういうことだよ!」と叫ぶように声を上げた。
自立心が強い佳主馬くんは、自分の気持ちを言葉にすることに躊躇いが一切ないのか、平気でこの手の言葉を言ってくる。時間も場所も問わず、ふとした瞬間にわざわざ耳元で囁いてくるので、まったくもって心臓に悪すぎる。
軽々しく口にしちゃだめだよ、と軽く睨んでみても、「だって本当のことだから」などとしれっと真顔で返してくださる厚顔無恥な相手をどうしてくれよう。

「おおかみがきたぞーって話があるよね。いつも狼が来たって言って村人を脅かして、本当に狼が来た時に誰も信じてくれなかったってやつ。佳主馬くんは別に嘘をついてるわけじゃないんだろうけど……あんまりいつも言ってると本当のことだって言われても、言葉に重みがなくなっちゃうよ?」

気持ちの安売りしちゃだめってことだよ……と、ここが年長者としての威厳の見せ所とばかりに重々しく言って聞かせれば、

「そうだろうね」

勢い込んだこっちが拍子抜けしてしまうほどあっさりと頷いた。

「わかってるなら——」
「だって聞き慣れてほしいから言ってるわけだし」
「……は?」

ぽかんと口を開けた僕は、相当な間抜け顔をしていたに違いない。

「奥手って言えばなんか聞こえはいいけど、健二さんってこの手のことに関してはほんとに臆病だし諦め悪いし恥ずかしがり屋だし。自分なんて恋愛対象になるわけないとか馬鹿なこと本気で思ってたでしょ。
自分に関係ないと思ってるから、俺と夏希姉が真剣勝負してたときも馬鹿みたいに好きだって繰り返してたときも、にこにこ笑ってばっかりで軽く流されてたし。でもいざ本当に自分に向けられた言葉だと気がついたら、どうしたらいいのかわかんなくなって、聞こえないふりとかしちゃうでしょ」

それが嫌だ——と。真っ直ぐに見つめてくる彼の強い瞳に、ざわりと胸が騒ぐ。

「俺の中にある健二さんに対していつもあふれてやまない『好き』って気持ちを、当たり前の事なんだって受け入れてほしい。貴方に出会えたことは奇跡だと知っているけれど、想いを伝えることは特別なことじゃないんだから。いつもの事だって思ってもらえるくらいに健二さんの心に浸透させたいよ」
きっぱりと言い切った彼は、とてつもなく艶っぽい瞳でくすりと笑って。ぱくぱくと、酸欠の金魚のように口を開け閉めしている僕を見ると、くいっと口の端を上げて悪戯っぽく微笑んだ。

「でも僕は健二さんの『好き』も好きだけど。言い慣れてないからたどたどしい感じも可愛いし、滅多に口にしてくれないから、俺だけに向けられた言葉だっていう独占欲を満たしてくれるし……」

つらつらと淀みなく出てくる相手の言葉が重ねられるごとに顔が赤くなるのが自分でも分かる。というかもうこれ以上はほんと勘弁していただきたい。
ああもう、絶対ゆでだこみたいになってるよ……!

「ぼ、僕だって……」

なんとか赤面ものの言葉の数々をさえぎろうと、必死に声を張り上げる。

「真っ赤になって、叫ぶように好きだと告白してくれた佳主馬くんは、すごく可愛かった……よ」
「それはまぁ、……本気で必死だったんだから仕方がないでしょ。相手は強敵だし、俺はただ健二さんのことが好きで好きで、気持ちをぶつけるしかできない子どもで、貴方を誰にもとられたくなかったんだから……あれ、ちょっとまって健二さん」

彼は唐突に言葉を切り、何かを考え込むように形の良い顎に手を当てた。今の聞き捨てならないんだけど……と小さく呟く声が漏れ聞こえるけれど、僕の言葉の一体何が問題だったんだろうか。

「あのさ、それっていつの事」
「え? あ……いつって……いつかなぁ?」
「ちゃんと思い出して」

思いのほか真剣な相手の表情に促されて、か細くなっていた記憶の糸を手繰り寄せてみる。脳裏に浮かぶ相手の姿は、まだ自分身長を越してなかった頃だから……たぶん、佳主馬くんがまだ高校生にはなっていないはず。

「えーと……あ、そうだ。冬のトーナメントの後のあたりだよ。佳主馬くんはやっぱりキングなんだなってすごく嬉しかったから、覚えてるよ」

とんでもない事件があったあの夏に、佳主馬くんはチャンピオンベルトを事件の張本人(人じゃないけど)に奪われてしまっていたのだけれど。
その年の冬のトーナメントに出場して、みごとにキングの座を自分の手で取り返した。池沢佳主馬という少年の芯の強さを知っていただけに、その喜びはひとしおだったのだ。
「絶対に勝つって信じてたからね!」……と笑いかけると、何故か彼はついと視線をそらせてしまった。
何が気に障ったんだろう? 首を傾げた僕の耳に、こほんと軽い咳払いの音が届いて。「これだから無意識って」とかなんとかぶつぶつ何事かを呟きながらも気を取り直したのか、再び僕のほうに向き直り口を開いた。

「それってあの時から意識はしてくれてたってこと?」
「……あ、えーと?」

僕は、未だ真っ赤になった顔のまま、曖昧に首をひねる。

「はっきりとは分からないけど。たぶん……えっと、こう、思い出してみると、ね。君の顔が……声が……忘れられなかったのは、その時くらいから……じゃない……かなって……あ、あれ?」

思いついたままを辿々しく言葉にしてみたけれど、

「——またやられた」

口元を押さえて、うめくように呟いた彼の耳が赤くなっているのは気のせいじゃない。
ぼすっと僕の肩口に顔を落としてきた佳主馬くんの仕草が、くんくんと鼻を鳴らせてすり寄ってくるウサギのようで、まるでOZでの彼のアバターみたいだなと思ってちょっと笑ってしまった。
実際の彼のアバターであるキング・カズマは、可愛いというよりもカッコよくて、尊敬や憧れの対象ではあるのだけれど。
抑えたつもりだったけれど笑い声が聞こえてしまったのか、もたれかかった姿勢のままで、彼が恨めしげに僕を見上げてきた。
ふう……とやるせない息をついた佳主馬くんは、「勘弁してよ」——と、それはこっちのセリフだと瞠目したくなるような言葉を吐いてくれた。

「まいったな。『僕』の一生をかけた『好きで埋め尽くそう』大作戦より、すごい威力の告白だよ……」
「え!?」

とんでもない内容をため息混じりにと口にしてくれた相手にびっくりして思わず素っ頓狂な声を上げたら、「驚いたのはどこに?」……と笑みを含んだ魅力的過ぎる黒い瞳を間近で拝むことになってしまった。
どきりと高鳴った鼓動に二度びっくりしてしまい慌てて視線を逸らせば、

「目をそらさないで」

なんて褐色の長い指先が僕の頬をそっと包んで、彼の方へと戻されてしまう。
さっきは自分で視線を逸らしたのにずるい! ……なんて、抗議の言葉も言えず。さ
りとて「心臓がばくばくするので見ていられません」とか本当のことを口にする勇気もあるわけがなく。
精悍さを増した指先のぬくもりを感じながら、瞬きすら忘れるほどに、じっくりと彼の——僕の恋人の顔を観察するハメになってしまった。

ほんと、ずいぶんと男前に成長してくれたものだと思う。
僕の知っている彼の一族の男性はみんな長身だったから、冬休みだったり春休みだったりと折に触れて会うたびに、確実に伸びてゆく身長に「越されるのも遠くないだろうな」なんてぼんやり感じていた。
実際は背丈だけではなく、しっかり日常の鍛錬も欠かさない彼の体は細身のくせにしなやかに引き締まった筋肉を纏っていて。
昔のままに、少し伸ばし気味の黒髪が片目を覆っている様はどこか色っぽさまで醸し出していて、本当に美形なんだな……と手放しで賞賛してしまうほど格好よくなってしまったのだ。
彼の成長はまるで自分に弟ができたような感覚で見守っていた自分にはとても嬉しくもあり、その眩しさがほんの少しばかり暗い影を落とした。自分の力でずっとさきの未来を拓いてゆける彼に、いつか置いていかれるんだろうな……と感じたのだ。
淋しいことだけれど、人とのつながりなんてどんどん変わっていくものだし、それは当たり前のことだといずれくるだろう小さな別れも覚悟していた。
けれど、いつになっても彼の自分に対する態度は変わらなくて。東京に進学を決めた佳主馬くんと距離が一気に縮まったような気がしたときも、僕を慕ってくれる彼の気持ちが本当に嬉しいとしか感じていなかったのだ。
まさか、自分が相手にとって恋愛対象になっているだなんて夢にも思っておらず。
どんなに告白されても(そのときは告白だなんても思ってなかったんだけれど)、憧れとか家族とか好きな動物とかに対するものだと信じ込んでいて、こそばゆくはあったけれどいつも彼の言葉を笑って受け入れられていた。
僕が、『そういう類の好意』だと気がついたのは、ほんとうにずいぶんと後のことだったのだ。
——だから、佳主馬くんがずっと本気の気持ちをぶつけてくれてたんだって分かったのも、僕の退屈な数学の話にだって、いつも嬉しそうに笑って聞いてくれる理由が理解できたのも、ずっとずっと時間が経ってからだったし……あ、あれ?

そこで僕は、先ほど口走った自分の言葉の違和感にようやく気がついた。

当時の自分はそんなつもりはさらさらなかったけど(弟のような友人が喜ぶ顔がみたくてどうすればいいのかと考えていたくらいで)、佳主馬くんの言葉とか表情とか、忘れらなかった……って、それって、ずっと相手のことを考えてましたって言ってるのと同じじゃないか……?
イマサラながら、実は相当恥ずかしいことを口にしている気がする。……というか、確実にとてつもなく恥ずかしい事実をさらけ出してる!?

「ね、どこに驚いたの? 答えてよ健二さん」

とっくに答えを知ってますといわんばかりの表情の彼は、余裕の笑みを浮かべたままじりじりと顔をにじり寄せてきて。
「健二さんを好きで染めようとしたこと? それとも過去の貴方の大告白?」なんてくすりと笑んだ顔があまりにも可愛らしくて思わず瞬きを数回。
一歩もひかない彼の様子に、望む言葉を口にするまではとても許してくれそうもないと観念する。
降参……とばかりに、僕は小さく両手をあげた。
本当に、言葉って難しい。些細な言葉の端で、自分自身が気がついていなかった心の動きすらも相手に伝えてしまうなんて。

「どれもだよ……っ!」

悲鳴のように叫んで深々とため息をついたら、吐息ごと今度は正面からぎゅうっと抱きしめられた。





S-kiss/終

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