[SW] シミュレーション 1

地上波放映おめでとうございまーーーーすっ!!!
(どんどんぱふぱふ)

という二回目だけどどうしたというノリでお祝い気分でおりますよ。
もちろんおおかみこどもも観にゆきますけどね。
明日からおでかけで初日は見られないから
悔しくてぎりぎりしてるなんてそんなことないですよ。

ギリギリギリギリ

とまあ、おかしな天昇で……ちがーう、テンションで。
お祝いムードにのっかって更新かましておいちゃったりなんかして。


最初にオフラインで出した本「s-kiss」の中からのお話です。
そのうち全部のっけるつもりなんですが
出がけの準備にまぎれて慌ただしく失礼いたしまする〜









ふっと目が覚めると、日向の香りがする布団にくるまれていたのは自分一人だった。

無造作に隣の枕側に手を伸ばすと、上掛けの下になったシーツからほのかに冷め切っていない体温が感じられる。ぬくもりの主が寝床を抜け出してから、たぶん そんなに時間は経っていないはずだ。
そういえば「明日は朝からミーティングがあるから」と、寝際のまどろみの中で相手が念を押すように呟いていた気がするなと、ぼんやりした頭に記憶が戻って くる。
もぞりと寝返りと打ちながら、起こしてくれれば良かったのに、なんて、未練がましいことを思いつつも。自分が相手の立場だったら、絶対に寝ている相手を起 こすような真似をしないとも分かってしまうので、うかつに恨み言を口にするわけにもいかない。
お互いに特殊な職業についているため、起床や就寝、そもそも家に互いにいられる時間がすれ違うなんてのはよくあること。プロジェクトが佳境だからと仕事先 の研究室に一ヶ月あまりも篭りっきりだった相手が、ようやく通常時間帯の日勤になって家に帰ってこれるようになったのはつい先週のことで。
その代わりとばかりに今度は自分の仕事が大詰めになってしまい、かろうじて(代表とかいう特権を利用しまくって)仕事場から在宅に切り替えたものの、誰よ り大切な相手の顔よりモニター画面と顔をつき合わせている時間が多い始末。
それも一昨日で何とか山場を乗り切り昨日でケリをつけ、やっと思う存分互いの存在を確かめ合えるようになったばっかりだった。久方ぶりに腕の中に愛しい人 の体温を感じていられるというその状況で、
「あ、明日会議があるんだ」
ほどほどにしとこうね……にっこり微笑みながらも蜂蜜ムードを粉砕するセリフを口にしてくださる相手に、もう少し甘えてはくれないものかとがっくり肩を落 としてしまったとしても仕方がないだろう。

——分かってはいるのだ。

自分にも相手にも、決して譲れない領域というものがある。それは仕事においてもそうだし、お互いの感情や交友関係などなど、まったく同じ考えを持った人間 なんてありえない。だから、生活していくうえではどうしたって相容れないところや、意見の相違がでてくる。
ただでさえ男同士の恋愛という、世間の常識を腹をくくって飛び越えるしかない最上級の問題がある上に、お互い恋愛に対して得手というわけではない。彼は まったくの奥手で女性とだってまともに付き合ったことがなく、自分にとってはこの人が初恋とほぼ一緒というとんでもない状態(本当は親戚のお姉さんである 人が自分の初恋だったんだろうけれど、同時に強力な恋敵にもなったので割愛)。
それでも自覚してしまった自分の気持ちに嘘をつくこともできず、(本人はそんなことないと否定するだろうけど)ふとした折にみせる意思の強さで俺を魅了し 続けてくれて、叶わぬ恋なのだからと諦めさせてもくれず。
押して、押して、押しまくって。好きで好きで好きすぎて、どうしたらいいか分からなくなるほどに好きすぎて、想いが強すぎて相手を追い込んでしまいそうに なって。本気で恋愛感情で「好き」なのだとまったく気がついてくれない相手の天然具合に何度も崩れ落ちそうになりながらも、外堀と内堀を埋めて囲い込ん で。初めて出会ってアタックをかけてから、三年もかけてようやく自覚と認識を促したところで、彼の隣にいる権利を手に入れることができたのだ。
この位置を離れるつもりはないし、相手を放すつもりもない。
だからといって、自分の思うがままに飼い殺しに(したいけど)できるはずもなく、お互いに人間としてはもちろん男としてのプライドだってある。傷つけあい ボロボロになることもあるのだと、そんなこと百も承知の上で付き合い始めた。
「——まぁ、いつも負けるのは『僕』の方だけど」
苦笑まじりに息をついてしまったが、それは決して悲観的な言葉なわけではない。
「常識的な」気持ちと先走りしそうになる感情との間で折り合いをつけながら、探り合って確かめ合って、ひとつずつ乗り越えていくしかないと覚悟はしたけれ ど。結局のところ、相手のことを思えば世間一般に転がっているレベルの「困難」などは、簡単ではないにしろ乗り越えられるのだと分かってしまったのだ。
そして、お人よしで頑固で天然で割りと悪戯好きで甘えたがりなところもあってけれど決して埋められない孤独を抱えている愛しい相手が、大事なところではい つも自分に譲ってくれる。押しが弱いのに妙なところが頑なで常識の塊のような性格なだけに、なかなか色めいた言葉など口にはしてくれない。けれど、ちゃん と心の深い位置にいるのだと知らせてくれる相手に対して、自分の些細なわがままなど早々言えるものではない——と、頭では理解しているのだが。
「だけど、さ」
ただ、せっかく休みが重なってゆっくりじっくり夜の時間すべてをお互いのために使うことができるのに、「はいさようなら」とばかりに一緒にいられる時間が 少なくなるのは非常に面白くない。そんな不満がしっかりと顔に出てしまっていたのだろう。
一応(というのもなんだけど)平静沈着で無類の格闘王と評される、OZマーシャルアーツの頂点に立つ自分に向かって、「そういうとこ、変わらないよ ね」……少し意地悪げに口元をゆるめて笑いかけて。「佳主馬くんは可愛いね」と言い放ってくれる四つ年上の、自分の中の弱さをさらけ出してもなお戦うため の勇気を差し示してくれた、自分の憧れのヒーローであった人。
四年という年の差は残酷だ。
最強で凶悪な笑顔にいちいちくらりとしている自分もどうかと思うが、とっくの昔に背丈を追い越して頭ひとつ分ほども身長差をつけて。「大きくなりすぎだ よ」なんて可愛い文句をこぼされるくらいになっている『男』に対して、よりにもよって『可愛い』はないだろう。
最初の頃の自分は本当に子供だったし、中学生と高校生という揺るぎようがない領域が示されていた以上、相手が自分に対して保護意識を持っていたって仕方が ないとは思う。根付いてしまっていた家族意識をすぐに変えろなんて無理な話しだし、自分としても長期戦で口説き落として確固たる伴侶としての位置を手に入 れたのだ。
何とかつりあう人間になろうと必死で背伸びをしたときもあったけれど、それよりももっと自然に隣にいられればいいと思えるようになって。上でも下でもな く、対等な関係になりたいと願って、そんな築けていると今は確信を持って言える……のだけれど。
度々こうして年の差が顔を出してくるもので、本人はそんなつもりはないのだろうけれど、やっぱり子どもだと言われているように感じてしまう。拗ねるとまで はいかないが、少しばかりツマラナイという旨をそれとなく口にしてみれば、

「え、だって。カッコいい佳主馬くんも可愛い佳主馬くんも好きだよ?」

これまた何を言ってるのといわんばかりに不思議そうに、当たり前のように返されて、撃沈した。
存在自体が愛しさの対象ってのは貴方のことでしょうと何度繰り返せば気が済むのかと。
大体において、恋愛感情にはとことん鈍いくせに、人の感情の機微に疎くはないとか、どういう冗談上等な存在なのかと。
むしろ、興味を持てない相手に対しては全くの無関心で無愛想になる自分よりも、好意を伝えるということに関しては彼の方がも何倍も上手だ。節操なしの人好 き光線が意識しないで出てきてくれるモノだから、余計な輩が引っかからないようにとこっちが目を光らせていなければいけないとか……いや、話がそれた。
『愛してる』は敷居が高すぎる……というよりかは、彼の中の辞書には重要度が低いに位置づけされているのだろう。ライクとしての『好き』ならいつだって 真っ直ぐに伝えてくれる相手に、一生かけたってかないっこない。真実の言葉だと分かっているから、自分はいつでも相手においていかれないよう、傍に居続け たい。
だから、いつだって相手の顔を見たいし声を聞いていたいから、出かける時には起こしてくれればいいのにと思うのだけれど。
彼にしてみれば俺が家にいてまでもずっと働きづめでいたのは、一緒に過ごせる時間を作ろうとしていたのだと分かっていて、ゆっくりと寝ている自分を起こす なんて論外だと考えたのだろう。
「気にしなくていいのに」
ほんの数分でも数秒でも、恋人の顔を見ていたいのだと、帰ってきたらそう言ってやろう。恥ずかしがりやなあの人がどういう顔するかな……なんて考えなが ら、自然と口もとがゆるんでくるのが自分でわかる。
幸せなのだ、と心底感じる。穏やかに過ぎる今の時間に、何の不満があるわけでもない。
——ないのだけれど……まぁ、ちょっと、その、何というか。
ごろん、と先ほどとは反対側に寝返りを打って、軽く目を瞑る。まぶたの裏側に映るのは、昨夜の一連の流れなわけで。
こう角度的に不明瞭な箇所とか、部分拡大とかが多々あるけれど。それでも十二分に刺激的で、思い出すだけでこう……あれでそれな生理現象に陥りそうになる わけだが。
健全な成人男子として、ちょっとした夢があったりするのだ。
「……いや………まぁ……さすがに、アレは、無理か……な」
嫌がることはしたくはない。せっかく酸いも甘いも乗り越え、晴れて(?)恋人同士だと言える様な関係になったのに、自ら円満空気をぶち壊すようなことなど したくはない。何しろ自分には無理やり相手の意思を抱きこんだという負い目がある。
主導権は完全に相手に握られているのだから——本人はそうだとは思ってないみたいだけれど——この手のことに関しては臆病にならざるを得ないのだ。決して 無茶や無理はさせたくないけれど……諦めきれないというか、妄想が滾るというか。
——まてよ。
ふと、俺の脳裏に神が舞い降りた。
もしかして万が一ひょっとして何かの気の迷いか運命のいたずらというか、こらえきれなくなった自分の巧みな誘導で、相手が「ソノ気」になるかもしれない。 その際、実は出来なかった、なんていう情けない事態にはなりたくないではないか。
試してみる価値は、ある。
善は急げとばかりにベッドから離脱し、目的地へと向かう。目的の品はすぐに見つかった。毎日使うものなのだから隠されてもいない。ただ、思ったよりも重量 のあるそれの存在感に一瞬躊躇いを覚えはしたが、日々の訓練を怠らず鍛え抜いている自分にしてみれば造作もないはず。
いや今の自分には使命があるのだ、ベッドルームにいざ行かん—!!


  ごきゅ


数分後、鈍い異音が寝室に鳴り響いた。


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