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[SS-SW] おてつだい日和

※注意※
このお話にはオリジナル設定が含まれます。(オフ本:線上の夏 と同様)
いろんなミラクルひっくるめて、佳主馬と健二はとある女の子を養女として引き取り、
家族として一緒に暮らしています。
この設定でじんましんが起きないかを十分に確認してからお読みください。

てかもう、お前ら一生やってろ的な甘さなんで気をつけてくださーい。



オリジナルすぎて自分で三次創作してるような気分になってきてこっぱずかしーですよ。
うひょー( ´・ω・)


わたしの朝は、おかーさんがおかーさんのために淹れるコーヒーの匂いからはじまります。
眠い目をこすりながらキッチンにいくと、カウンターの向こう側におかーさんのきれいな横顔がみえました。
「おはよう千夏」
かずかーさんがいつものように朝の挨拶を口にします。
顔は朝食用のパンに向かったままなのに、どうしてわたしだとわかるのかいつも不思議です。むーと悩んでいたら、けんおかーさんが「佳主馬くんは後ろに目がついているんだよ」ってにっこり笑って教えてくれました。
なるほどです。
「何いってんの。君たちの気配が分かりやすすぎるんだよ」
千夏に変なこと吹き込まないでと、かずかーさんは呆れ顔でしたが、私はけんおかーさんが正解だと思います。だからかずかーさんは、けんかーさんがパンに挟んだ卵をこぼすとすぐに分かるのです。
「おかーさん、おはようございます」
両手をそろえてぺこりと頭を下げたら、
「まだ眠そうだね」
クスリと笑う気配がしました。ほらやっぱり、かずかーさんには横にも目があるに違いありません。
「バカなこといわないでっ……じゃない。えーと、人間には目は二つしかないんだってば。間違ったこと覚えちゃだめだよ」
おかーさんが慌てたように言い直したのは、きっと最初の声がちょっとだけトゲトゲしたからだと思います。
無表情で感情のない言葉ばかり並べるから、自分はよく怖いとか冷たいとか生意気だと言われると、かずかーさんがけんかーさんにこぼしていたことがありました。
そんなことはないです。どんなときでも、おかーさんも、おとーさんも、どっちも千夏に優しいです。褒められることばかりじゃなくてめいっぱい怒られることもあるけれど、いつもわたしを見る瞳があったかいのです。
だからわたしは、ちょっとでもおかーさんたちを悲しませたくありません。
はぁい、とお行儀よく返事をすると、かずかーさんが顔をあげて、カウンターごしに腕をのばして私の頭のてっぺんをぽふりとたたきました。
「別に千夏が悪いわけじゃないから。元はといえば健二さんが余計なことを吹き込むのが悪い。……一度ちゃんと話をしなきゃとは思っていたんだよね」
あれれ、かずかーさん怖い顔。けんかーさんが怒られちゃうです。
「ケンカだめですよ」
せいいっぱい背伸びをしてめっとしたら、軽く目を見開いたかずかーさんにぷっと吹き出されました。
「大丈夫。ケンカなんてしない」
「ほんとにしませんですか?」
「ほんとにほんと。俺は約束したことは絶対守るって知ってるでしょ」
あ、優しい顔です。そうです、かずかーさんの約束は絶対なんです。家族なんだからずっと一緒だよって、口に出して言ってくれたのはけんかーさんですが、最初に一緒にいようって言い出したのはかずかーさんだって知ってます。
ふたりともちゃんと千夏との約束を守ってくれます。きみはもう十分すぎるほどさみしい思いをしたんだから、もう大丈夫だよって、絶対にひとりにしないよって、わたしの目をみて約束してくれました。
だから安心なのです。大好きな人ができても大丈夫なんです。千夏は、ひとりぼっちじゃありません。
「分かったら早く顔を洗ってきて。千夏のお仕事の時間だよ」
長くきれいな指でぴんとおでこをつつかれてわたしははっときがつきました。そうです、千夏にはこれから大事なお仕事があるのでした。
大急ぎで顔を洗って、ぱたぱたと駆け足でキッチンを通り抜けたら、
「頼んだよ」
ポットのお湯をマグカップいれて温めているおかーさんに、笑顔でお願いされました。顔は見えませんがわたしには分かるのです、だってとっても声が優しかったですから。
目的のお部屋の前でひと呼吸。すっと息をすってコンコンとノックをします。お返事はありません、朝はだいたい、いつも、そうなのです。
「はいりますですよ」
お断りを口にしながらそっとドアをあけると、ベットの上にこんもりした毛布のかたまりが見えます。
「朝です、起きてくださいです」
くいっと毛布のはしっこをひっぱってみましたが、お返事はありません。
これで起きたためしはないですし、すぐに起きてくれるようなら、苦労しません。わたしも、お仕事のやり甲斐がないというものです。
けんおかーさんは「眠りが浅くてちょっとしたことで起きちゃうくせに、一度寝るとなかなか起きてくれないんだよね。っていうか、寝汚いんだよ」と、かずおかーさんをちょっぴり困らせる天才です。あんまり幸せそうに寝てるから起こせないんだそうです。
「あの寝顔は卑怯だよね」
口をとがらせるかずかーさんは、なんだかとっても幸せそうなので、千夏は「ひきょう」ってすてきな言葉だなって思っています。まだおかーさんたちには内緒ですが、夏希おねーちゃんにこっそり教えたら「どういうのろけ自慢大会なの」と電話の声が遠くなってしまいました。
のろけってなんでしょう。鈍いってことでしょうか。千夏はちょっとのんびりやさんかもねって、けんかーさんに頭をなでられることはよくあるですが……あ、そうです、だからけんおかーさんを起こさないとでした。
「起きてくださいですー」
もういっぺん毛布をつかんで揺さぶってみましたが、びくともしません。むー、なかなか敵は手強いです。
でも大丈夫、わたしには最近覚えたばかりの「ひっさつわざ」があるのです。
うんしょと背伸びをして、なるべくおかーさんの柔らかい茶色の髪の毛に近づくよう顔を寄せました。

「Solve me? 814381625757888867669235779923577997614666120182……」
「うわぁああああああああーっ!?」

わあ、ふとんがふっとびました。
目を白黒させて飛び起きたけんかーさんが、毛布のはしっこを握りしめてぜえぜえと肩で息をしています。眠気さんもいっしょに飛んでいってしまったみたいですね、すごいです、本当に必殺技です。
「なに、すごい声聞こえたけど、どうしたの?」
キッチンから顔だけのぞかせているかずかーさんの声と、
「そ、そ、それっ! ど、どこで聞いてきたのっ」
悲鳴のようなけんかーさんの声が重なりました。んーと、困りました、どちらにお返事すれば良いのでしょう。首をかしげていたら、「あ、別に怒ったんじゃないんだよ」ってけんかーさんが慌ててわたしの顔をのぞき込んできました。
「なんかよくわかんないけど、起きたならさっさと顔を洗ってきてよ健二さん。休みだからってあんまりだらけてないでさ。パン焼けたし」
かずかーさんの声に、弾かれたようにけんかーさんが動き出しました。さいごはかずかーさんが決めるですね、さすがです。
けんかーさんの後にくっついてキッチンに戻ったら、コーヒーからパンのとバターの美味しそうな匂いに変わってました。
「千夏もお疲れさま」
でもよく一発で起きたね、と不思議そうな顔のかずかーさんのお手伝いをするべく、私はテーブルにお皿を並べます。
千夏もよくわかりませんが、「ひっさつわざ」はすごい威力でした。あとで侘助おじさんにちゃんとご報告するです。


「あぁ、びっくりした」
心臓に悪いよと胸を押さえながら、けんかーさんが椅子に腰掛けました。
はぁーとおっきなため息をついています。
「僕はてっきり佳主馬くんの仕業かと……あれ、そういえばどうして今日は千夏が起こしにきてくれたの?」
「ちなつのお仕事だからです」
いきおいよくお返事をしたら、へ? とけんかーさんの目がまんまるになりました。
「千夏がね、自分も何かやりたいっていうからさ」
俺たちに甘えばっかりはだめなんだって、と笑いながらかずかーさんが淹れたてのコーヒーがたっぷり入ったマグカップをけんかーさんに手渡します。ひとくち飲んだけんかーさんの目元が、ふわりと柔らかく微笑みました。
「美味しいねぇ。佳主馬くん、いつもありがとう」
「どういたしまして」
いつも、おかーさんたちはこうやってお互いを見て、微笑みあいます。
声も顔も瞳も全部がとってもあたたかくて、わたしはこの時間が大好きなのです。
「千夏はこっち」
ことんと置かれた私のマグカップには、ミルクたっぷりのカフェオレです。こくんと飲み込んだら、甘いミルクの中で少しだけ覗いた苦みがのどをすべってゆきました。
ほんのちょっと口元がへの字になっただけなのに、かずかーさんには見逃しません。
「濃かったか。ああ、無理しない」
苦笑したかずかーさんの声に「昔の佳主馬くんみたいだね」とけんかーさんが小さく笑って、ハチミツを入れてかき回してくれました。
「何それ、俺は美味しいと思ってたよ」
「後からはね。でも最初は無理してたでしょ? 家では牛乳たっぷり入れてるって清美さんが教えてくれたよ」
「母さんめ。……ま、家ではね。苦いのは苦手だったし」
「ほらやっぱり」
「だけど、こっちにきたときは別。健二さんが出してくれるものは何でも、美味しいとしか感じるわけなかったし」
「きみは……だから……どうしてそういう……」
ミルクとハチミツをいれなくても、ちゃんとおいしいって思える日が来るのかな。大人になればそう思うのかな。そうしたらおかーさんたちみたいに、あったかくなれるかな。
一緒にいる時の二人がとりわけ大好きだから、ふっと浮かんだことをそのまま質問してみます。
「どうしておかーさんたちは一緒のお布団で眠らないですか?」
ぶっと、何かが宙をとんでゆく音がしました。
「ちょっ ごほっ ちなっ ごふっ」
「大丈夫健二さん、そんなにせき込んで。ああ、もう、涙目だし、コーヒーが背もたれまで飛んでるし」
「な、な、なんで佳主馬くんはそんなに冷静なのっ!?」
「二人そろってパニックになってる場合じゃないでしょ」
「少しは慌ててよ!」
「僕だってじゅうぶん焦ってるよ!」
「あ、佳主馬くんのぼくってすごく久しぶりに聞いたなぁ。なんかラッキー?」
「ちょっと、どっちが余裕なの」
急に大きくなった二人の声にびっくりして目をぱちぱちとさせていたわたしに気がついて、咳払いをしていくぶん落ち着きを取り戻したけんかーさんが「どうしてそんなことおもったの」ってわたしの頭をなでました。怒ってるんじゃないのに顔が赤くて、なんだかとても複雑そうな顔です。
そんなに変なこと言ったのかなぁと、わたしはこっくり首を傾げます。
いつも千夏が眠るときにはけんかーさんかかずかーさん、どちらかが側にいてくれます。たまに二人の時間がそろって空いたときには、三人でごろんと横になります。
ずっと昔、まだわたしの本当のお父さんとお母さんがいたころ、一緒に眠ってくれたときとっても嬉しかったってお話したら、じゃあ一緒に寝ようかってけんかーさんが微笑んでくれました。お父さんとお母さんがいなくなって、おばさんという人も帰ってこなくなっちゃって、ひとりになるのは慣れっこだったから。
ちなつはひとりでも大丈夫なんですよっていったら、
「そんなのは慣れるもんじゃないだろ」
とても静かな目をしたかずかーさんに怒られてしまいました。
二人に挟まれて、うとうとしかけたわたしの頭の上で交わされている、低い話し声がずうっと聞こえているのも好きです。
二人はどんなに一緒にいてもお話が尽きない仲良しさんなんです。だから、もっとたくさん一緒にいられればいいのに--。
ああそういうことかと、かずかーさんが頷きました。
「千夏は単純に俺たちが一緒にいる時間が少ないんじゃないかって思ったんだな。俺たちが仕事で寝る時間が一緒じゃないってのも知ってるしね。千夏が寝る時に側にいるのは、俺たちがそうしたいからだし」
「あ、そっか。千夏は一緒の時間をとっちゃってるのかもっておもったの?」
迷いつつもこくりと頷くと、なぁんだとほっと息をついてけんかーわんがほんわり微笑みました。
「そっか、心配かけちゃったんだね。ごめんね。大丈夫だよ、うん。ちゃんと一緒にいられるときは、一緒にいるよ。僕の寝付きが悪いから、時間がずれちゃうとどうしても一緒にってわけにいかないんだけど」
「その割に一度寝ると起きないけどね」
「だからごめんって。これでも朝起きれるようになったほうなんだよ。紙に埋もれたまま意識がなくなるなんてことほとんどなくなったし。もう、佳主馬くんのほうがよっぽど普段夜更かしなのになぁ」
なんでだろ、なんて首をひねるけんかーさんに、運動足りてないんじゃない? と耳もとで笑いかけたかずかーさんはとっても楽しそうです。余計なことは言わないのって、けんかーさんに首に回した腕をつねられていましたが。
「安心した?」
腕を軽くつままれたままクスクス笑ってるかずかーさんに向かって、ぶんぶんと大きく頭を振りました。
はいっ、納得しました。
「だからたまにけんかーさんはかずとーさんのお部屋で寝てるですね」
ごんっ。
何かがぶつかる大きな音がしました。
「……大丈夫、って聞いた方がいい? 健二さん」
「……いまはそっとしておいて……」
テーブルと仲良しさんになっているけんかーさんが、うつ伏せのままで呻きました。


そういえば、とベットにごろんとしたわたしにタオルケットをかけながら、けんかーさんが思い出したように声をかけました。
「朝のあれ、どこで聞いたの?」
何のことかわからなくておかーさんの顔を見つめ返したら、たくさんの数字のことだよって言われて思いだしました。あのひっさつわざのことですね。でもどうしましょう、おじさんからは秘密だよって言われたんです。ひっさつわざは秘密だからひっさつわざなんだよって。
口ごもったわたしを見てかずかーさんがふっと息をつきました。けんかーさんから今朝のことを聞いたんですね、二人の間には秘密なんてないのです。あれ、秘密がないのに二人ともとっても強いです、なんででしょう?
「まぁだいたい想像はついてるんだけどね。この間国際電話かかってきたばっかりだし、夏希ねぇには、ちなっちゃんを電話にだしなさいって命令されたしさ。でもいつの間にメモなんてしてたの」
「ちなつ、いっかい侘助おじさんに聞いただけですよ?」
あ、と思って口をおさえましたが手遅れです。秘密じゃなくなっちゃいました……しょんぼりしてかずかーさんを見あげたら、ぽかんと口を開けて固まっています。
「一回、聞いた、だけ?」
「はいです」
「あ、そう」
千夏とお話しているはずなのに、かずかーさんはなんだかぼんやりとしていて上の空です。
「あーやっぱり、侘助さんか。じゃあしょうがないなぁ」
けんかーさんが微笑んで、「明日はひっさつわざは使わないでね?」といいながらぽんぽんとタオルケットの上からわたしの肩を軽くたたきました。
手のひらがあたたかくて、おちてくる声がとてもやさしくて、まぶたがどんどん重くなってきてしまいます。
おやすみなさい、とちゃんと言えたのか分からないまま、わたしは幸せなぬくもりに包まれました。



「健二さん気がついてたの!?」
「あー、うん。なんとなくだけど、やけに物覚えがいいなぁ、なんて思ったことは一度や二度や、さんよん五度くらい?」
「物覚えなんてレベルじゃないでしょこれ!?」
「前にね、暇だったからお昼ご飯作りながらずっと円周率を呟いてたら、聞こえてたみたいでね。二日後くらいに楽しそうに歌ってたんだよねー」
「……聞くと後悔しそうだけど、聞かないともっと後悔しそうだから聞いとく。何桁ぐらいだったの」
「んーと、1000桁くらいかなぁ? たぶん。途中で疲れちゃったみたいだけど、きっと全部覚えてるんじゃないかな」
「それって、健二さんみたいな人間離れした計算してるってわけじゃなくて」
「うん……って、人間離れはひどいよ佳主馬くん。僕はちょっと計算が得意なだけだし。ああ、そこじゃなかったね。どうもこの子は、一度聞いたことをそのまま記憶しちゃうみたいなんだよねぇ。けっこう特殊な能力だよね」
「なんだってこう……妖怪変化みたいな特異体質の人間ばっかり集まるんだか」
「OZマーシャルアーツの伝説になっちゃた佳主馬くんに言われたくないんだけど」
「俺の場合は努力の成果。英雄譚はそっくりそのままお返しするよ。追いつこうと思ってもぜんぜん追いつけないし。勝てる分けないけどそれでも幸せだし。ぜんぶひっくるめて愛してるからもうどうでもいいけどさ」
「……だから、どっちが……」













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