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[SS-RO] BS×WIZ(♂×♂)

シリアス風味でどこか切ないような結局ほのぼののような。


はたしてこの世界に「七つの海」があるのかどうかはうにゃららら。

――白


  舞う 雪のように 落ちる 堕ちる
 

――青


  遠く 幻のように 遥か 消えて  



白く、舞って。
羽が、堕ちて。



沈みゆく身体が、思うように動かない腕がもどかしく。
焦燥感だけが先走り、浅い息が耳障りなほど繰り返される。
苦しいのに。もう、届かないとわかっているのに……それを認めることはできなくて――否。

諦めるということすら忘れていた。

あとも、さきも。
過去も今も未来も……何もかもがそこでは意味などなさず。
ただひたすらに。
頑是無い子どものように、焦がれてやまない光へ必死に手を伸ばした――あと少し、もう少し………(何を求めている?)





もっと……高く 高く 高く―――














■七つの海



「……あ」

ほほに触れたやわらかな刺激に、すうっと意識が呼び覚まされた。
ゆっくりと目を開けば、やわらかくこぼれる陽だまりのような瞳がそこにあって。
思ったとおり、いつも見慣れたその微笑みに……なぜか、わけもなく叫びだしたくなるような激しい消失感が、身体の奥底をじわりと染めていく感覚に襲われる。

「どうした?」

常とは違う気遣うような声音で、もともと少しタレ気味の眉をいっそう寄せて。
心配そうに覗き込んで髪を撫で付けてくれる恋人の問いかけにも、はっきり答えることができない。

なんだというのだろう、この違和感は。

自分の中にぼんやりと渦巻く感情の渦のカタチすらも分からず。
けっして平常心とはいえずに混乱する私の隣で、ふっと空気がゆれた。
私の髪を梳いていた優しい手が動き、ゆるりと指がのばされる。
決して繊細とはいえないけれど――燃えさかる炎を制し、鎚を揮わせているのだから当たり前なのだが――節くれだった親指で。
ぐいっと、私の目じりをなぞる。

「どうしたってんだ……?」

困ったように繰り返された二度目のささやきに。
ようやく私は、自分のほほに感じた刺激の正体に気がついた。
自分ではまったく気がついていなかったのに、彼が触れた瞬間に温度をともなった冷たい感触。
自分の右目に浮かんでいたそれは……


――泣いている……?


自分が、眠りの中で涙を流していたのだと。
それを傍らの相手の指がぬぐってくれたのだと気がつき。
瞬間的に脳裏によみがえる鮮烈な『白』に、ぼんやりと口を開く。


「夢を……見ました」



「怖い夢でもみたのか」…と。口の端で小さく笑って面白そうに覗き込んでくる相手の表情こそはゆるやかなくせに、その声音はひどく真剣だった。

「怖いというか――綺麗、でした」

キレイだぁ?…と不思議そうに繰り返す彼に小さくうなずいて返す。
そう、綺麗だった――壮絶なほどに。
吐息すらも色がついてみえるような何一つない世界の中で。
左右どころか上下感覚すら失うような透明な空間で、私はたった一つの何かを探して……飛んでいた。

そう、夢の中の私には翼があった。
羽ばたいて、どこかへ向かっていて……その途中で私の翼は散ってしまったのだ。



雪のように、白く、しろく―――しろいだけ……?



「なんだかえらく暗示的な話だな。よく分からないが……そういや、空をとぶ魔法ってのはないんだったなぁ」
「そうですね。聖職者の紡ぐ転移の魔力は空間と空間をひずませて、その歪を生みだす点をつなぐだけですから」
「………何にもないとこから、炎やら岩やら氷やらはできるくせに、飛ぶことができないというののも変な話だな」

理屈はよく分からないが……と、苦虫を噛み潰したような憮然とした表情を隠しもしないブラックスミスの子どものような仕草に、思わず笑みがこぼれてしまう。

「世の理には法則があるんですよ。属性ってあるでしょう? 例えば貴方がよく狩りに出かけるミョルニール廃鉱には、地と不死と毒に属する魔物が生息しているわけですが、この際に相手の属性と真逆に位置する属性を用いることによって生じる反作用が……」
「うわっ、やめろって!」
「勉強を嫌がる子どもじゃないんですから。製造にだって属性分野の知識は欠かせないでしょうに」
「あんなもんは勘と運に決まってるだろ」
「まったく……支援してくだるプリーストの方が聞いたら卒倒しますよ?」

『人生は経験、理論は無用』を座右の銘にしている恋人は、こと魔力関連の話題になると、アレルギーのように拒否反応をみせてくれる。
その表情が可愛らしくて、ついつい隙をみつけては講釈してしまうのだけれど。
……こみ上げる笑いの衝動を隠すように口元を抑えていると、気配はしっかりと伝わっていたのだろう。

「仕方ないだろう。魔法だとか魔力とかっていう代物とは相性が悪いんだ」

寄り添うように傍らで休めていた身体を半身だけ起こして、軽く肩をすくめながら呟かれた言葉に、今度こそ抑えきれずに私は吹きだしてしまった。

「その相性悪さの最たる職業、ウィザードなんですけれどね、私は」

くすくす笑いながら相手の顔を覗き込むように見上げると、彼はほんのちょっとだけ思案するように首をかしげて。
そのままどんどん顔が近づいて、私の唇に熱が降りてきた。

「身体の相性は、最高だろ?」

ついばむように、キスをして。
はじけるような笑顔で、悪びれもせずにニッカリと笑いかけてくる。

「……性格と言って欲しいところでしたけどね」

「間違ってないですけど」……と、私も笑いながら今度はこちらからキスを返して。
ゆっくりと……どちらからともなく腕を回し、髪が、指が、舌が絡み付いて。
じかに感じる相手の心音と、痺れるほどに熱い互いの熱で、ふれあった箇所から自分がどちらなのか分からなくなってしまうほどに溶けてゆく。

むさぼるように繰り返されるキスの中で。
濃密に執拗に交わる吐息を逃れ、息をつこうと伏せていたまぶたをあけた瞬間。
私の心を絡めとる『色』に、時間が、止まる。




とびこんできたのは、どこまでも透明で、目をそらすことを許されない強烈すぎる『青』。





――ヘヴンリー・ブルー




吸い込まれそうな……魂までも奪われる壮絶な天上の青は、まるで一対の宝石のようで
どんな鉱石でもかなわない至上の輝きは、傷つくことを恐れない彼の魂の強さで。


ああ、そうだったのか……と。


絶え間なく与えられる熱の中で、私はようやく確かな答えにたどり着く。






――夢の中でさえも、私の求めていたのは貴方だったのですね。















飛んで 羽ばたいて 高く たかく―――青一色に染まりゆく空へ。


人をこえて。
街をこえて。
時間をこえて。



七つの海をとびこえて―――。




空と海が交じり合う。
無限にめぐる世界の果てで、たどりつくのは貴方のとなり。


















「……いくな」


まるで死人ではないかと疑いたくなるくらいに。
傍らで静かすぎる寝息を立てて眠りに落ちた恋人には決して聞こえないよう、ぽつりと静寂のなかに落とされた言葉。


――お前の方が、よっぽど捕まえておくのが難しいぞ。


羽のように。
翼のように。

純白にきらめく銀糸のようにしなやかに零れ落ちる恋人の髪をひとすくい。
起こさぬようゆるりと指にからめて、青い瞳のブラックスミスは小さく息をこぼした。





「お前の翼を休めるのは、俺のとなりだけにしてくれよ」













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